ぶみ

あなたを抱きしめる日までのぶみのレビュー・感想・評価

あなたを抱きしめる日まで(2013年製作の映画)
4.0
それは、人生を取り戻す旅。

マーティン・シックススミスが上梓したノンフィクション『The Lost Child of Philomena Lee』を、スティーヴン・フリアーズ監督、ジュディ・デンチ主演により映像化したフランス、イギリス製作のドラマ。
十代で未婚の母となり、息子と生き別れとなってしまった主人公が、五十年経った後、ジャーナリストとともに息子を探す旅に出る姿を描く。
主人公となる女性フィロミナをデンチ、ともに息子を探す旅に出るジャーナリストで原作者でもあるマーティンをスティーヴ・クーガンが演じているほか、ソフィ・ケネディ・クラーク、メア・ウィニンガム等が登場。
フィロミナが婚前交渉で妊娠したことから、カトリックの戒律により修道院に収容された後、突然息子アンソニーが養子に出され会えなくなってしまうという、衝撃の冒頭でスタート、以降、ひょんなことから出会ったマーティンとともにアンソニーを探す様は、中々サスペンスフル。
その後、案外あっさりとアンソニーの行く末が判明するのだが、その真相と、アンソニーの行動は、これが実話かと思うと驚きの一言。
何より、原題にもなっているフィロミナを演じたデンチと、再起をかけようと奮闘するマーティンを演じたクーガンの凸凹コンビが東奔西走する姿はロードムービーの醍醐味の一つ。
98分という短めの尺ながら、真相探しのサスペンス、濃密なドラマ、ロードムービーの面白さが詰まっており、フィロミナの繊細な心の動きが伝わってくるとともに、修道院とは何のための施設なのか、世に問いかけてくる良作。

探究の終わりに出発点に到達し、その場所を知る。
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