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子宮に沈めるのkuuのレビュー・感想・評価

子宮に沈める(2013年製作の映画)
2.7
『子宮に沈める』
製作年2013。上映時間95分。

『終わらない青』の緒方貴臣が監督と脚本を務め、社会問題となっている育児放棄に至るまでの母親の心理に迫る衝撃作。
若くして2児の母親となったシングルマザーが、次第に社会から孤立し追い詰められていく悲劇を見つめる
(ってよりネグレクトを受けた子供を淡々と撮ってるだけにも見えなくないし、フェアじゃないかな。
今作品は裁判で明らかにした検察側の調書を映像化しただけのような。
フェアにするなら弁護側が述べたであろう情状面。
それを踏まえた上で描き出し、観客に問題を問うならばよかったんやけど。。。)。
良き母であろうとしたが途中で力尽きてしまう主人公を、『指輪をはめたい』の伊澤恵美子が演じる。
母を信じて疑わない子どもたちの無垢な瞳が映し出す、現実社会の冷酷さや無慈悲が招く厄災に言葉をなくす。
ほんまに回りは気が付かんかったんかな。
見て見ぬふりをしてしまう心理効果
傍観者効果が生じたんじゃないかな。
この傍観者効果で有名な事件としては、深夜に自宅アパート前で女性が暴漢に襲われた。
彼女の叫び声で、付近の住民38人が事件に気づき目撃していた状況にもかかわらず、誰一人警察に通報せず、助けにも入らなかったってのです。

扨、お話は、由希子(伊澤恵美子)は、娘の幸(土屋希乃)と蒼空(土屋瑛輝)と夫の4人家族。
だが、夫はめったに帰宅することなく、彼女がたった一人で幼い娘と息子の世話と家事に明け暮れる毎日。結局一方的に夫に離婚を言い渡された由季子は、子ども2人を連れてアパートで新生活をスタートさせ、良き母であろうと奮闘するものの。。。

今作品は2010年に起きた大阪二児遺棄事件がひとつのきっかけとなって撮った映画だそうです。
タイトルをみて、子宮を擁する女性が起こした悲惨な事件として安易に描いとんのやろとタイトルも不快に感じ見過ごしてた作品でした。
(因みに、大阪二児遺棄事件は、3歳の女の子と1歳9か月の男の子が母親の育児放棄によって餓死した事件。
2010年7月末、通報を受けた警察によって発覚。 
部屋に置き去りにした二児の遺体を確認した後も通報しなかったこと、母親の風俗勤務などの生い立ちが注目され、当時は連日報道されていた。)

社会ってのは、母性愛てのを神々のお話のようにしているフシがある。
そして、神話化された母の性愛によって、世の中のお母さん方が苦しみ、結果的に、幼く尊い命が失われるような事件が引き起こされている。
そんな事がしばしば起こるのは現実にある。
今作品は、母ちゃんが幼子を子宮に沈めたちゅう意味ではなく、女子にしかない子宮を、母性の象徴として考えてつけられたタイトルだと信じたい。
つまり、母ちゃんが子を沈めたのんじゃなく、社会が女性を母性の象徴である子宮に沈めこんでいるにほかならんのかなぁと。
今作品を見てそうは思いにくいが。
顔を映さない、ピンを合わさない、カメラは一切外に出ていなくて、部屋の出来事しか写していないてのは、母ちゃんは己の家という小さな世界に閉じ込められてしまっているんを描くため敢えてそうしたのか、そうしたなら巧いかなと思いますが、精神的にダメージくらわす映像、倫理観を問いたくなる表現に辟易してもたのは確かかな。
でも、もし監督はただ単に、当時マスコミに取りだたされていた事件をなぞっただけでなら(現になぞってるが)クソ監督に他ならんかな。
事件の当事者(母ちゃんも回りの人も)に何の得もない。
いや、好奇の目に晒すブーストかけてるんに他ならないし、自己満足でしかない。
これが、大阪二児遺棄事件云々を踏まえず、全くのフィクション作品ならエエねんけど。
メッセージ性としてリリースしているなら深読みの理由であって欲しいかな。
関係者がいつか目にしたときを思うと辛い。
また、今作品では子役たちはよくやったと思いますし、それが民意の評価に加味してるんかなぁと。
これが、独居老人問題に焦点を当てて、死に逝く老人の映像を淡々と撮ってたならどうやったやろか。
個人的には、子役の演技を加味しないなら現在の評価よりマイナス1ポイントかな。
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