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インターステラーのhiroのレビュー・感想・評価

インターステラー(2014年製作の映画)
5.0
【人生ベストムービー】
設定5/脚本5/役者5/映像音楽5/個性5

「一番好きな映画は?」この質問に即答できるようになったのはこの作品を観て以降。
初めて見たときの衝撃は忘れられない。見たこともない映像に難解なストーリー。宇宙理論を学んでもう一度劇場に行かなければと思うのは最初で最後かもしれない。

近未来、地球は異常気象と疫病で食糧不足に陥っており、人類は近く滅亡を迎えようとしていた。元宇宙飛行士現農家の主人公はあることをきっかけに、人類が移住できる星を探す計画が進行していることを知らされ、計画に勧誘される。まだ小さい一人娘を残し宇宙へ旅立つのは後ろ髪がひかれる思いだったが、娘の世代が生き残れる環境を探すべく学者達と共に宇宙へ旅立つ。

ありがちなSFの筋書きだなと思った。蓋をあけたらちがった。とんでもなく壮大な宇宙の旅が待っていたのだ。

21世紀版『2001年宇宙の旅』とも言われているが、この作品はSF好きでなくても内容が理解できなくても楽しめる親子愛の物語である。
また宇宙が夢や希望ではなく、孤独や恐怖として描かれだした先駆けとなったのもこの作品。劇場で暗闇・無音の中聞こえる主人公の息切れやため息や嗚咽はすさまじい恐怖感を与えてくれた。
そしてなんといってもサントラがすごい。無機質なようで情緒あり、希望と絶望どちらも感じられ、不安な宇宙旅を完璧に演出している。ただでさえ傑作なのに鬼に金棒状態。

★★★以下設定補足(ネタバレはないですが予備知識ゼロで観たい方はご遠慮ください)★★★

物語は相対性理論にもとづく時間のズレと、重力は次元を超えるという最新の宇宙理論を題材としている。

最新の学説では、我々の世界は空間3次元+時間の4次元だが、実は宇宙は11次元から成り立つらしい。我々の宇宙は3次元だが、別次元の宇宙も存在するし、複数の宇宙を包括するより大きな時空概念も仮想されている。
唯一重力だけは次元を超えて移動することができ、ブラックホールの中心は重力が無限大ゆえ観測できないが別次元の宇宙とつながっているのではないかという。
近年重力波が解明できたことで、高次元に関する学説もいよいよ現実味が帯びるんだとかなんとか。

読んでいてなんのことかさっぱり分からないと思うが、書いていてもなんのことかさっぱり分からない。でも本作はこうした学説を中心に扱っている超ハードSFなのだ。

物語では空間3次元と時間を"制御可能な"5次元世界という概念が登場する。4次元が1つの時間軸、5次元が多数の時間軸(世界線)の移動が可能な世界。作中一応の解説はあるがただでさえ情報過多な映画なのでこのあたりは予備知識ありで見た方が話を理解できる。

★★★以下ネタバレあり★★★

なぜこの作品が途中理解できなくても(一応に)楽しめるかというと、最後は「愛は非科学的だが間違いなく力を持つ」という結論で終わるから。
5次元世界の住人でも特定時間軸の特定時間の特定場所の特定人物に干渉することはできなかった。それを解決したのが我々3次元世界の住人の家族愛という力。
「愛は時空を超える。」難しい設定を排除していくとこの一言に集約される。

相対性理論やタイムパラドックスにより元の時間軸や世界線に戻ってこれないSFなら想定内だが、5次元を使うことで元の世界線に戻ってくるとは想像を絶していた。ピチピチの120歳父が危篤の90歳娘と再会するシーンはなんとも不思議で理解しがたいのに感動的だった。

ノーラン監督にはまだまだ期待しているが本作を上回る宇宙SFはもうないと覚悟している。ハードSFとヒューマンドラマを見事に両立させた本当に素晴らしい作品でした。

2017-95(再),2017-96(再),2020-83(再)
②2014/11/30 109シネマズ川崎 IMAX2D
③2015 TSUTAYA
④2016 TSUTAYA
⑤2017/9/9 Blu-ray
⑥2017/9/16 TSUTAYA
⑦2020/9/11 グランドシネマサンシャイン池袋 IMAX2D
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