かたゆき

アメリカン・ハッスルのかたゆきのレビュー・感想・評価

アメリカン・ハッスル(2013年製作の映画)
3.0
でっぷりとしたお腹にざんばらハゲを隠すためのバレバレの一九分けヘアがトレードマークの生粋の詐欺師アーヴィン。
彼の仕事上でも私生活でも名実共にパートナーである男にだらしない女イーディス。
自分の出世のことしか頭にない自己中心的な俗物FBI捜査官リッチー。
鬱からくる情緒不安定でネイルアートだけが生き甲斐の現在別居中のアーヴィンの妻であるロザリン。
一癖も二癖もあるそんな彼らの本音と建前、嘘と真実、愛と憎しみが複雑なタペストリーのように絡み合うコメディタッチの社会派ドラマ。

このデビット・O・ラッセルって監督、前々から感じていたことなのだけど役者を使うのが実に巧い!!
「あんた、何処まで肉体改造したら気が済むねん!」ってくらい今回も役者魂を見せ付けてくれる胡散臭さ爆発なクリスチャン・ベール、絶対に友達になりたくない“ザ・やな奴”を見事に演じたブラッドリー・クーパー、いつおっぱいポロリするか分からないような露出狂ファッションで常に男を振り回すビッチを生々しく演じたエイミー・アダムス、関わり合いになりたくないけど客観的に見る分には面白いイタいお騒がせ女ジェニファー・ローレンス…。
他にもほんのチョイ役ながら相変わらず存在感抜群のデ・ニーロやらおバカな市長役のジェレミー・レナーやら、そんな豪華な役者陣が織り成す見事な熱演の数々は見応え充分でした。

ただ…、ストーリー的にちょっと弱いかな~と感じたのも事実。
実際にあった事件を元にしたからか、いまいちカタルシスに欠けるという印象が拭えない作品でもありました。
個人的には、同監督の前作「世界にひとつのプレイブック」の方がドラマティックで好きですね。
それにこの監督って良くも悪くも優等生なんですよね~、作品としてもう少しアクの強さみたいなものが僕は欲しかったですかね。
それでも、最後まで安定して観ていられるエンタメ映画の佳品に仕上がっていたと思いまーす。
かたゆき

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