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LIFE!のkuuのレビュー・感想・評価

LIFE!(2013年製作の映画)
3.8
『LIFE!/ライフ』
原題The Secret Life of Walter Mitty.
映倫区分G.
製作年2013年。上映時間114分。

ジェームズ・サーバーの短編小説をノーマン・Z・マクロード監督、ダニー・ケイ主演で映画化した『虹を掴む男』(1947)を、ベン・スティラーの監督・主演で新たに映画化。
1936年の創刊から2007年に休刊されるまで、世界で幅広く読まれたアメリカのグラフ誌
『LIFE』
の写真管理部で働く臆病で不器用な男が、人生変える波乱万丈の旅に出る姿を描く。

LIFE誌の写真管理者として毎日地下鉄に乗って通勤し、変化のない日々を過ごすウォルター・ミティ。
彼の唯一の楽しみは、むなしい現実から逃避する刺激に満ちた空想をすることだった。
そんなある日、LIFE誌の最終号の表紙を飾る大切な写真がないことに気付いたウォルターは、カメラマンを探すため一大決心をして一歩を踏み出す。。。

90年代後半以降、GやPG(そして多くのPG13も)の映画は、ディズニーの子供向け作品の代名詞とも云えるかな。
一方で、深みのある『大人向け』の作品を求めるんやったら、一般的には、不穏で、
下品で、
生々しく
暴力や性的なものが多く含まれてた。そんな中でも今作品は、家族向けでありながら深く考えさせられる、大人向けの映画への素晴らしい原点回帰やと感じます。
今作品は、派手で骨太な筋書きのないシンプルな物語を描く映画であり、しかもPG映画を見ている側をこ馬鹿にしてへん。
個人的見解では、子供たちも同じように楽しんで意味を見出すことができる作品なんじゃないかと思います。
ウォルター・ミティは馬鹿で、負け犬とまではいかへんけど、出会い系サイトで『ウインク』ボタンをクリックするのに5分も格闘している冒頭のシーンを見りゃ、彼がスーパースターでもスーパーヒーローでもないことがわかる。
そこから、彼には現実の生活が退屈で(そして周りの人たちも)哭いてしまうために、自分の空想の世界でボーッとしてしまうという奇妙な癖があることがわかる。
せや、それも長くは続かへん。
映画ポスターから想像できるように、この映画ではダサいウォルター(ベン・スティラー)が大陸を横断し、様々な災害や酔っ払いのアイスランド人パイロットと闘う。 
また、同僚のシェリル(クリステン・ウィグ)との間には軽いロマンスが生まれるけど(本人はそう願っています)、これは定型的なロマンス映画じゃないんだなぁこれが。
今作品は、人生を最大限に楽しもうとすることがテーマになっているんやろし、ウォルターのような中年のリーマンであろうと、メタルロッカーや教育ママゴン(この言葉はもはや私語やけど)であろうと、どこにでもあるような冒険を見つけようとするメッセージが込められてんのやろな。
ユーモアもあるし、ベン・スティラー監督の『ケーブル・ガイ』や『ズーランダー』のような奇抜なものは期待しない方が無難です老婆心ながら。
基本的には真面目な物語で、素晴らしい芸術的なタッチと美しい映画撮影が行われてたし、そこにスティラーの風変わりで皮肉なユーモアが随所にちりばめられてました。
音楽についても、サウンドトラックが個人的に素晴らしいって感じた。
ダリル・ホール&ジョン・オーツの『Maneater』、
ルパート・ホルムズの『The Pina Colada Song』、
デビッド・ボウイの『Space Oddity』
などなど、
80年代の名曲が好きならば、きっとこの曲が気に入るはずかな。
また、2010年代のオブ・モンスターズ・アンド・メンの『Dirty Paws』みたいなのような現代の名曲もあります。
『世界を見よう、危険でも立ち向かおう。それが人生の目的だから』
ってコンセプトで監督は選曲しただけあり、曲も勿論やけど誰もが楽しめる作品かな。
また、なによりベン・スティラー監督の成熟した演出に感銘を受けた。
この作品はシリアスな魂の探求者であるにもかかわらず、物事を新鮮でさわやかに保つ方法やとも云える。
ポール・トーマス・アンダーソン監督の『パンチ・ドランク・ラブ』を彷彿とさせるような、風変わりな毒舌ぶりも随所に見られます。
今作品は、小生にとっては映画作品棚を設けるなら是非とも入れたい作品です。
こないな作品を、自分の子供と共にみたり、あるいは、子供たちが両親へレンタルしてきて観るってエエなぁ。
独り身卒業したいが、趣味多き小生を理解できる家族は何処へ~🥺。
kuu

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