CHEBUNBUN

捕えられた伍長のCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

捕えられた伍長(1961年製作の映画)
4.0
【ジャン・ルノワールの大脱走】
カイエ・デュ・シネマのベストに選出されたジャン・ルノワール『捕えられた伍長』を観たら、びっくりするほど『大脱走』で驚かされた。

脱走しては捕まってを繰り返すことでクリシェを形成し、そのパターンで面白さや切なさを引き出す。まさしく『大脱走』である本作だが、『大脱走』にない要素も持ち合わせていた。それはロングショットと室内ギミックの豊富さである。「トイレに行ってくる」と言って、外にぽつんと設置されているトイレへ向かう。これをロングショットで捉える。それにより、観客に彼らがどのように脱出するのかを予測させる筋道を与える。実際に、近くに停まっていたトラックを使うことになるのだが、そのトラックは外へ行くものではなく、土砂を運ぶだけのもので脱出に失敗する。また、土砂を運ぶ施設内が工場見学好きにはたまらないほど入り組んでおり、これが脱出への好奇心を掻き立てていく。そして計画、脱出、捕獲をひたすら繰り返していき、不屈の精神から来る熱さがどんどん面白さへと繋がっていく。ジャン・ルノワールはそこまで認識していない監督であったが、めちゃくちゃ面白い監督だなと感じたのであった。
CHEBUNBUN

CHEBUNBUN