ねこ無双

シビルの部屋~ヤング・エマニエル~のねこ無双のレビュー・感想・評価

4.3
「エマニエル夫人」原作者エマニュエル・アルサンの自伝らしいです。
でも内容はセンセーショナルでもなく、真面目な青春もの。
(官能シーン、ヌードはまあまああります)

反抗期真っ只中の名家の娘シビルは16歳。
父親からはその反抗的な態度を持て余され、寄宿舎に入学させると言われている。

ふらっと立ち寄った本屋での万引き。
それを目撃した店主(サミー・フレイ)との出会いは、シビルの毎日に大きな変化をもたらすこととなる。
シビルは隠れ家を持っていて、そこでポルノ小説の傑作「ネア」を書こうとしていた。
彼女の作品に才能を見出した彼は、著者名を公表しない事を条件に契約を結ぶ。
やがて発表した作品が一大センセーショナルな大ヒットを収めるが…。
皮肉なのは自分が書いた本なのに、本屋で未成年だから売れないって言われてしまうこと。

父、母、姉、叔母と暮らし、母と叔母が愛人関係という複雑な家庭。シビルは母が好きで好奇心もいっぱいなので、2人の恋を応援してる。
変遷してゆく家族を描く物語でもあります。

背伸び少女も店主との初めての恋で痛みを知るんですが、その後ちょっと驚きの展開になっていくので、ほんとにこれ伝記なのかな?って驚いてしまう面も。
どこまでがフィクションなんだろう?

シビルが官能小説を朗読するのを寝そべってじっと聞く猫。
この猫が主人公の傍にいて、秘密も何もかもそばで見ている。なかなか猫出ずっぱりの愛猫映画でもあります!
心地いい時に出すのどのごろごろ音まで聞こえてきて、この猫見てるだけでご機嫌です。


結末にちょっと触れてるので下げますね。











結末がすごく好きで…。
『太陽』という邦画のラストもそうなんですけど、こういう終わり方にはどこか憧れを持ってしまいます。
そこには失敗への恐れは無くて…ただ未来への希望だけが見えているんでしょうか。