KingKazukiManji

不気味なものの肌に触れるのKingKazukiManjiのレビュー・感想・評価

不気味なものの肌に触れる(2013年製作の映画)
2.5
作品の面白さと気持ちの悪さが混在していた、何とも不思議な映画だった。中編だったから観れたけど、長編だったらキツかったかもしれない。濱口竜介が今まで描いてきた(これからも描いていく)「言語と身体性」と「自己と他者性」を突き詰めて表現するとここまで気持ちが悪くなるのかと感じた。逆に他の作品はその一定のボーダーラインをギリギリの所で守っているから、不快感はなく、緊張感と表裏一体の面白さが保てているのだなと再認識させられた。やっぱり濱口竜介は映画として脚本を書くのが上手すぎると思った。だからこそ彼の歯止めが効かないであろう高橋知由との化学反応は面白いものがあった。脚本が濱口竜介ではないからなのか、主人公たちの関係性に友情を超えた愛情のようなものが感じ取れ、彼にはないBL要素というのが新鮮だった。思春期のアイデンティティクライシスを言葉にできない感情=暴力でしか表現できないという脚本が優秀であった。常に何かしらの違和感があり、緊張感が漂っていた本作の、(濱口竜介のは作品と比べてみると)画面が暗かったりする演出や、日常描写なのに緊迫感のある音楽を使ったりする演出、さらには映像としての不協和音を差し込む演出は、とても好ましかった。しかしながら濱口竜介作品史上かつてないほどの直接的な暴力描写は、作品の雰囲気と合わさって、途中気分が悪くなるほど、かなり不快であった。相変わらず喫煙描写あり、高校生の設定であるはずの染谷将太が吸っているのには笑ってしまったが、ああいうシーンシーンの細かい違和感がよかった。濱口竜介と染谷将太、石田法嗣の親和性は想像以上に高かったと思う。ある意味公開から10年経った今だからこそ続編が作れるのではないだろうか。
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