マーフィー

ペコロスの母に会いに行くのマーフィーのレビュー・感想・評価

ペコロスの母に会いに行く(2013年製作の映画)
4.8
2023/11/11鑑賞。
介護の日無料上映会にて。

ペコロスと、その母に会いに行く映画。
認知症の進行とともに、息子が母との記憶を辿り、母も自分の記憶を辿る。その様子を私たちが見て、親子の人生にまるっと会いに行く。

言わずと知れた有名漫画の実写化。
「認知症の映画」を人にすすめるならまずこれかな。
笑って泣いて、こういう感情をいろんな方向に振り回される映画大好き。



見ながらざっくりとメモ的に感想を。


認知症の支援は専門外なので、専門的なことは分かりません。
エピソードとか認知症関連の本などで受けたのは「線がつながらない」症状が多いんやなという印象。
本作で描かれるおもしろエピソードも、やろうとしてることの途中で別の刺激が入って、
元々やろうとしてたことの記憶が途切れることで起きることがいくつかある。


母と息子のこれまでの関係をはじめにざっくりアニメでまとめて、
物語の核となるより深い記憶をゆっくりじっくり描く。
とても素敵な構成。



認知機能の低下を利用した詐欺が、認知症とまでいくと撃退されてしまうのがすごく面白い。


「親を捨てる」という感覚との葛藤。
そうではないと分かっていても思うんだろう。


よく傑作について、「記憶を消してもう一度見たい」とか言われるあるけど、
良いことも悪いことも「記憶を消して」もう一回体験することになるのな。いや一回じゃなくて何回も。
「身近な人が死んでた」という悲しい体験を何度も何度もするってどういう気持ちだろうか。


岩松了と竹中直人のやりとりが面白すぎる。
そして温水洋一がそこに交わる。凄すぎる。
ハゲがレジェンドハゲたちと対峙する絵面。最高かよ。


2023年介護の日の無料上映会は、上映後に原作者へのインタビューがあり、
映画化の話が決まった時に、「絶対詐欺だ」「車椅子のおばあちゃんとハゲた息子の話が何で映画化されるの?」と言われた話がめっちゃ好き。

そして長崎に人が来ることを来崎というのか。勉強になった。

確かにこの作品のアセスメント力はバリ高。
支援者として見ると凄すぎる。
さらに映画の制作者だから、アセスメントからその人の世界を映像で表現するという。もはや天才的。




ラストで一気にこの映画の魅力が爆発して、点数がぐっと上がったのですが、
ネタバレなのでコメント欄に。
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