Jun55

愛の亡霊のJun55のレビュー・感想・評価

愛の亡霊(1978年製作の映画)
3.9
国立映画アーカイブで開催中の特別展「没後10年 映画監督 大島渚」と併せて鑑賞。本作はカンヌ映画祭監督賞を受賞。
フランスとの合作らしく(フランス語字幕)、映像美が意識されていると感じた。

”怪談”という発想自体、日本にユニークなところなのだろうか。
”村社会”、”没個性”も海外では新鮮なのだろう。
武満徹の音楽が効果的。

本作は実話に基づくもので、日清戦争の復員兵が主人公。
(藤竜也が演じる豊次)
明治政府は富国強兵を進め、日清戦争には勝つものの、農村は疲弊し、きっと多くの復員兵が路頭に迷うことがあったのだろう。
軍に所属したことから自尊心だけはあるが手に職があるわけではなく使い物にならない。
この映画は、そんな時代の負の側面、”国家”からはじきだされた人間の悲劇を描きつつ、そこに死と背中合わせにある恋愛の美を描き出した。
Jun55

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