しろくま

大統領の料理人のしろくまのレビュー・感想・評価

大統領の料理人(2012年製作の映画)
3.4
《大事なのは素材の味を感じることだ》
〝あなたが初日に作ってくれたボルチーニのスクランブルエッグは最高だった💗。祖母が作ってくれたようなフランスの懐かしい味の料理を食べさせてほしい。期待しているよ〟

大統領の料理人として腕を振るった女性シェフの実話で〝一皿から彼女の美味しい改革がフランスを変える〟って宣伝していたので、厨房に新風を巻き起こす話だと思って楽しみにしていたら、途中から〝あれっ?〟っていう展開。〝こっちは質のいい食材を調達して美味しい料理を提供しようとしているのに、コストカットをしろとか、カロリーを考えろとかお役所仕事のようなこと言われたんじゃやってらんないわ〟っていう気持ちも分からないではないけど、だからといって大統領が不在の時にそんなことしちゃダメでしょ。

嫌がらせを受けているみたいに描かれているけど、高齢の大統領に食事制限が設けられるのは仕方がないし、コストを抑えた中でどれだけ美味しい料理を作るのかがシェフの腕の見せ所の筈なのに…。それに食事制限を設ける大統領の料理と会食を共にする人達の料理を変えてもいいのではという要望を〝いやだ〟ってつっぱねたのもどうなのって感じ。家族で食卓を囲む時だって、爺ちゃん婆ちゃんの分だけ食べやすいように細かく切ったり味付けを変えたり、唐揚げの代わりにお刺身をつけたりするじゃない。

彼女には、大統領から掛けられた言葉〝最近、風当たりが強いみたいだな。私もだ。逆境だよ。逆境だからこそ私は頑張れる。人生の唐辛子🌶️だ〟を糧に、思いとどまって奮起してほしかったけど…。ただ、その後の彼女の新たな職場が凄い。まさに究極の逆境の地。自らに逆境を課して赴いた彼女。大統領が見込んだだけあってただ者ではないね。あまりにも激辛な人生の唐辛子🌶️。

フランス料理って、お洒落な料理がちょっぴり盛り付けられていて、ソースが濃厚で胸やけしそうって思っていたら、彼女が作る料理のように家庭的でボリュームがあって、素材の味が生かされているのはいいね。本作は、女性シェフの波乱万丈ヒストリーだけど、フランスの家庭料理の素晴らしさを知ることができる映画でもあるってことね。

視聴メモ:2023.09.13/138/図書館🅼DVD(吹替)
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