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ストラッターのSariのレビュー・感想・評価

ストラッター(2012年製作の映画)
3.4
アリソン・アンダース監督が、長年にわたってコンビを組んでいるカート・ボスと共同監督を務めて撮りあげたスタイリッシュな青春ロックムービー。

大都市LAのもうひとつの素顔であるアンダーグラウンド・カルチャーから、音楽、映画、美術など、夢の追求と永遠の青春の痛みがカオスするLAシーンを織りあげたキュートで愛すべきロードムービーでもある。

物語は、恋人から突然の別れを告げられた上にバンド解散の危機にも陥ったロック青年の苦悩をユーモラスに描く。
感性豊かな母に育てられた気取り屋’ストラッター’のブレットは、バンド解散に加え恋人が尊敬する音楽家デイモンにのりかえたと知り落ちこむ…。

本作の主要な各キャラクターのネーミングが、90年代のブリット・ポップ期に全盛期であった、英国バンドのヴォーカリストから付けているようだ。ブレット(スウェード)、元カノのジャスティーン(エラスティカ)、デーモン(ブラー)の三角関係は、当時メディアが過剰に取り上げたゴシップであった。尚、劇中のデイモンは、劇中で例えられるように、LA版ジャーヴィス・コッカー(パルプ)で、ルックスや歌い方をワザと似せている。劇中のブレットの母親の恋人は、キース・リチャーズに寄せているし、グラム的モチーフも登場することから、アメリカ人から見たブリティッシュ・ロックやカルチャーへのある種の到達できぬ憧れのようにも思える。

タランティーノ、モンテ・ヘルマン、ガス・ヴァン・サント、イーサン・コーエンら、同じ夢を追った映画監督の支援を受けた低予算作品ながら同時代に沁みていく。
エンドロールに登場する、ダイナソーJr.のJ・マスシスらカメオ出演者のソリッドな演奏も見どころ。
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