くろねこヤマ子

昨日からの別れのくろねこヤマ子のレビュー・感想・評価

昨日からの別れ(1966年製作の映画)
4.2
クルーゲ監督初見。
他作を知らないけれど
比較的観やすい作品を
選んだんじゃないかなと思う。

その時代らしい
アヴァンギャルド感。

敢えてヌーベルバーグに
落とし込むとしたら、
女性の撮り方なんか
当時のアニエスヴェルダに近いかな
と、私は思ったりして。

東から西へとやってきた
国家や教養の蚊帳の外に
存在する女性が、
所在なきまま
権威ある中年男性を渡り歩き、
身から出た錆を繰り返した後、
平穏を取り戻す
ある種のロードムービー。

女を疲弊させるのは男。
女を救うのは女。
敢えて疲弊に行っちゃうのも女。

コンプレックスの対象に
自身を手段として飛び込むということは
女目線で見ると
あるあるのような気がする。
ないものを手に入れたい女の常套手段。

要領良く手に入れる女も入れば
悪女のようで下手な女もいる。
彼女は後者。

噛み合わない会話や疎外感に
彼女の孤独を感じる。
グルグルと回る演出は良いなぁと思った。

配膳用EVで上下している時の
あの表情は可愛かったな。

何処かへとひたすら歩く彼女の黒い靴が
パンプスだったりサンダルだったり
コロコロと変わったのは意味があるのかな。

さっくりとした表現に
隠れた意味があるのだと捉えたいけれど
ジャンプジャンプ
カットカットされまくりの中
ストーリーを追うことだけで必死。

でもこの作品、好きよ。