きまぐれ熊

トランス・ワールドのきまぐれ熊のレビュー・感想・評価

トランス・ワールド(2011年製作の映画)
3.9
全く別の場所から迷い込んだ3人の男女が森の小屋に遭難するところから始まり、助けを呼ぼうと森から出ようとするも、必ず小屋に戻ってきてしまう。さてどうしてでしょう?

まずジャンルが形容できないけど(言っちゃうとネタバレになるため)、序盤の掴みで提示される謎の正体は気持ちよく解消される点でお勧めできる。序盤のスロー具合が玉に瑕。

小屋の謎は流石に序盤では意味が分からないけど、中盤でヒントが明かされた段階で正体が何となく見えてくる。
小屋で何が起きてるか?はすぐに分かるんだけど、なんでそれが起こったのか?...は全く見えてこない。
これにちゃんとオチ付くんか...?と半信半疑で見てたけど、トリガーがきっちり明かされるし、伏線となるセリフが序盤からしっかり散りばめられてたのでなかなかいい脚本でした。スタートダッシュが遅くて序盤退屈なんだけど、セリフを聞き漏らさないようにしておくとその分後半楽しめる。

ファンタジーなんだけど、なんで?っていう疑問は撃ちもらさないように作ってあるので肩透かし感はないです。
ハリウッド映画としては低予算らしくワンシチュエーションなので映像的な見どころはあんまりないけど、少し不思議系ファンタジーとしては手堅く作ってあるいい映画でした。
なんか示唆っぽいポスターはネタバレとは全然関係ないです。
原題のEnter nowhereはテーマを端的に示しているけど、邦題のトランスワールドはその手前の不思議現象を示しているのでヒントとしてはちょうどいい感じの改題具合ですね。あんまり面白そうに聞こえないけどw


以下ちょっとだけネタバレあり感想。


不思議現象のトリガーは店員説と、金庫説に分かれてるみたいだけど、銃声がっつり聞こえてるから金庫が不思議アイテムというより店員自体が超自然的存在と考える方が自然な気がする。銃に全然動じてないけど、金庫を開けることで世界が改変されるなら改変失敗リスクを負うことになるので、金庫を開けるって言葉が契約のトリガーっぽい。ジンみたいな存在もしくは神様?それだとトムが生き返らないことを踏まえるとキリスト教っぽい。
ただ、トムは男の強盗の息子でもあるので、彼の人生を改変するためにエンディングの女性バージョンで小屋に挑んでいるのではないか?って考察を見て、根拠は薄いけどそれはそれで拡がりがあって面白いな、と思いました。今回の主役はあくまでジョディだったわけだしね。
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