西東京

ジェラートの天国(神の喜劇)の西東京のレビュー・感想・評価

4.5
高尚なフリしてやってることは児童ポルノ。監督が演じるジェラート職人がくだくだと語る理念も、結局はアイスでしかなくて、客は甘くて美味しいから食べるだけ。「思考の書」と書かれた分厚いハードカバーに納められたコレクションはマン毛。クラシックをバックにぐるぐる回る惑星を延々と映す冒頭、その後のカットで少女らもその大仰を笑う。高級なパッケージ(「神の」)と低俗な中身(「コメディ」)。モンテイロはシネフィルや批評家からどう見られて、自分がどの位置にいるのか自覚しながら、あえてその場から立ち去ろうとしているように見える。それは大企業の買収を撥ねつける場面でも示される。監督自身が主人公で、女性の経営者(プロデューサー)がいて、少女たち(女優)と、客(観客)にアイス(映画)を作る。わかりやすい図式に自分を落とし込んで、あえて愚かに振る舞う。
牛乳風呂で小便させて、その風呂で作ったアイスで腹を壊した少女に大量の卵の上で下痢便をさせ、そこに監督が顔を突っ込む一連の場面はかなり不快で、良識ある人なら怒ると思う。倫理を逸脱しまくって、映画内のモンテイロも映画外のモンテイロも敵だらけ。最後にはちゃんと裁かれるけど、医者から一晩持たないって言われても決して死なないし、家を荒らされて鳩の糞まみれでも忽然とした態度で立ち去るのが決意表明みたいでかっこいい。「神」なんだから倫理も道徳も関係ない。
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