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フリークス(怪物團/神の子ら)のsnowwhiteのレビュー・感想・評価

4.3
ナイトメア・アリーを観てこの映画を思い出してレビューを見てみたら随分前に観たのだがレビュー書いてなかった。

フリークスとは異形の者たちの事である。1932年に作られた見世物小屋を舞台にした衝撃作。実際の見世物小屋のスター(小人症等の障がい者や本物の奇形者)が演じており公開当時各国で衝撃を与え多くの国で公開禁止となった問題作。ロンドンでは30年間もの永きに渡って公開が禁止されていた。



(ネタバレあります。)
障がい者や奇形者が集まる見世物小屋。世間からは蔑まれてはいたが一緒に旅回りする仲間通しみんな仲がよかった。
小人症の曲馬師ハンスと同じく小人症の曲芸師フリーダは婚約していたが、ハンスは美貌の軽業師のクレオパトラに魅せられてもいた。ハンスが親戚からの莫大な資産を相続することを知ったクレオパトラは金目当てに彼を誘惑し、ハンスは彼女との結婚を決めてしまう。婚約者を奪われて悲嘆にくれるフリーダを一座の仲間が慰めた。

実はクレオパトラは怪力男のヘラクレスと付き合っており、結婚式のあとにハンスを毒殺する計画を進めていた。結婚式の祝宴でクレオパトラはハンスや他の仲間を侮辱した。彼女の本性を知ったハンスは後悔する。更にハンスはクレオパトラとヘラクレスが自分を毒殺しようとしていることを聞いてしまう。それを知った仲間たちは激怒しクレオパトラを追い詰めハンスを助ける。

ハンスは曲馬団を辞めて資産家になったが、失意とフリーダへの罪の意識から沈うつな生活を送っていた。

フリーダはハンスを許して彼と結ばれる。

そして、クレオパトラには仕置きのあとに恐ろしい運命が待っていたのだった。end


コンプライアンスの厳しくなった現在では決して撮影出来ないだろうが、当時もかなり問題視され、監督はこの後全く仕事が来なくなりキャリアを閉じることとなった。


とても衝撃的な内容(特にラストは衝撃)ではあったが何故か私はこの映画がとても美しいと感じた。

それはハンスに裏切られても、なおもハンスを心から愛するフリーダの心がとても美しかったからだと思う。もしもこの映画がフリーダの復讐の物語だったならこうは感じなかっただろうと思う。

フリーダを裏切ったハンスではあったがフリーダも仲間もクレオパトラの陰謀を知った時にハンスを見捨てることはなかった。だからこそハンスは心からの反省をしたのであろう。フリーダの美しい心や仲間が素敵だった。

公開当時、世間を騒がせバッシングも激しかった様だが私はこの映画は名作だと思う。たまに観たくなる映画である。
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