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MAMAのMOCOのレビュー・感想・評価

MAMA(2013年製作の映画)
3.5
「亡霊を信じる?
 遺体はそのままだと人として認識できない程に分解して朽ちてゆく。そこから出た歪んだ感情が亡霊となって何度も現れる。目的を果たすまで・・・」


 2017年の「IT/イット “それ”が見えたら、終わり」の監督がその4年前に制作した映画です。

 投資仲介会社の経営が悪化したジェフリーは共同経営者と妻を殺害。無理心中を目的に幼い娘ヴィクトリア(三才)とリリー(一才)を連れて山道を運転中、積雪にスリップして転落し山小屋へ辿りつきます。
 子供達を殺害しようとするジェフリーは小屋に潜む得たいの知れない何かに襲われ何処かに連れて行かれてしまいます。

 三人の行方不明から5年後、兄ジェフリーとその娘を探し続けてきたルーカス・デサンジは山小屋で栄養失調の姉妹が発見された報告によろこびます。
 獣のように存在を消しながら四足歩行する姉妹の傍らには大量のサクランボの種があり、姉妹はどうやら空想上の“MAMA”の存在を頼りに食いつなぎ、生き延びていたようでした。

 ルーカスと恋人のアナベルは姉妹を引き取るのですが、行方不明当時まだ言葉を発していなかったリリーの社会復帰はほど遠く困難を極めます。しかも山小屋から連れて帰って来たのは姉妹二人だけでなく山小屋で姉妹を育ててきた“MAMA”も気づかないうちに一緒だったのです・・・。

 ルーカスとアナベルは姉妹を“MAMA”から引き離し、守るために山小屋から付いてきてしまった霊に壮絶な闘いを挑むのですが・・・。
 

 この作品は予想を裏切るラストが面白く沢山の人に紹介しました。このレビューのためにネット検索して、初めて「IT/イット 」の監督をしたことを知りましたが、オカルト映画にありがちな「人間vs霊⇒人間の勝利」とは違う、豊かな発想ができるから、大役がまわってくるのでしょう。おのずと、次回作「IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり」の期待が高まってしまいます。


 オープニングでコママンガのように流れるヴィクトリアの壁画のようなイラストから、妹のリリーが山小屋生活の中でアライグマに噛まれ狂犬病を発症し、すでに3ヶ月たっておりリリーは死ぬ運命にあったと解説されている評論家の方がおみえです。
 見過ごさず考察される凄い方がいることに驚きです。
 ヴィクトリアが描いたと思われるイラストによれば父親のジェフリー同様、娘に危害を加えたアライグマは“MAMA”に殺害されています。

 山小屋にたどり着いた時からダークなイメージの黒い餓は・・・、やがてヴィクトリアに笑顔で送られる黒い蝶・・・。
「MAMA」のストーリーはよくあるオカルトですが「そう来るか」と思わせるラストがいい。このラストは決してバットエンドではない。
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