kuu

MAMAのkuuのレビュー・感想・評価

MAMA(2013年製作の映画)
3.8
『MAMA』
原題 Mama.
映倫区分 PG12.
製作年 2013年。上映時間 100分。

ジェシカ・チャステインが主演したホラー。
ギレルモ・デル・トロが製作総指揮を務め、これがハリウッドデビューとなるアルゼンチン出身の新鋭アンドレス・ムシェッティ監督が、自身の短編作品を長編化した。

精神を病み、共同経営者と妻を殺害した投資仲介会社経営者のジェフリーは、3歳と1歳の娘ヴィクトリアとリリーを連れ出して逃走。森の中の小屋で娘たちを手にかけようとするが、小屋に潜んでいた何者かにジェフリー自身が消されてしまう。
5年後、ジェフリーの弟が娘たちを発見し、彼女らの心理状態を研究したいドレイファス博士と恋人のアナベルと一緒に、博士が用意した家で共同生活を始めるが。。。

洋画に嵌まった誰もが一度は観たいと思いながら、なかなか手に取ることができない『ギレルモ・デル・トロ』作品(今作品をギレルモ作品と書くと、ファンからお叱りを受けるやも知れませんが)を、100分で読み解く
100分でギレルモ初心者コース。
てな感じで今作品も、個人的にはギレルモ節炸裂作品してたと思います。

今作品のMamaの造形は、どっかで見たことあるなぁとおもてたら、どうも、芸術家アメデオ・モディリアーニの絵画(監督自身が所有してる絵画)から着想を得たそうです。
同じビジュアルは数年後、『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(2017)で、幼いスタンを恐怖に陥れる絵に再び使用された。
因みにアンドレス・ムシェッティ監督の絵画の特徴は、将にMamaそのもので顔や首を長く描く彼独特の絵画はあまり売れず、酒や麻薬に溺れ、生活は乱れ極貧生活であった。
モディリアーニ絵画の代表作は、大部分が1916年から1919年の間に集中して制作されてて、ほとんどは油彩の肖像と裸婦であり(風景は4点、静物はなし)、顔と首が異様に長いプロポーションで目には瞳を描き込まないことが多いなど、特異な表現をとっている。
絵画のモデルは、ジャンヌ・エビュテルヌって女性でメチャ美人をつけ添えときます。

今作品では、リリー役のイザベル・ネリッセは、撮影当時、英語を話すことができなかったそうで、そのため、彼女はあまり対話をせず、ボディーランゲージで演じるのがメインでしたが、それがまた怖さが増してた。


今作品は、アンドレス・ムシェッティ監督が脚本と監督を手がけた約2分間の映画の長編映画化作品だそうで。

https://youtu.be/WRqS6pBC42w


(アンドレス・ムスキエッティさんYouTubeさん勝手に転載してすいません。都合が悪ければ云ってください削除いたしますので🙇‍♂️)

この短編映画があまりに強烈やったし、ギレルモ・デル・トロはこのスペイン人に、ミニマルな物語を、そのインスピレーションと同じくらい怖くて雰囲気のある長編に拡大するよう下知したそうっせ。
個人的には、その大部分が成功したって云えるんちゃうかな。
ただ、今作品には、ありきたりなビビらし表現が多いかな。
チカチカする照明、懐中電灯。
理屈抜きの深夜の探検。
物語の側面を説明しては消えていく登場人物、チープなジャンプスケア。
オーケストラのうねりとクレッシェンドが怖がるべきタイミングを決めている。
今作品は、ホラー面で云えばの再発明しようとはしていないかな。
欠点はさてコキコキ、
とは云っても、今作品はとても怖い((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル。
驚くほど感動的な作品に仕上がっていました。
ジェシカ・チャステインは、アナベルちゅう役柄に完全になりきってたし、彼女が今日のスターの一人である理由を証明してるかな。
母性本能の芽生えと、心の旅路は意外にも信じられるものやったし、2人の少女との相性も抜群やった。
ビクトリアとリリー役のミーガン・シャルパンティエとイザベル・ネリッセは、養母と霊母の間で自分の居場所を探そうとする2人の少女を、同様に信じれる感動的な演技で表現してました。
どちらも精神的に傷ついた子供と云うことで、簡単な演技にはならんが、二人とも不気味でありながら、無邪気さを漂わせることに成功してました。
また、彼女たちは必要なユーモアを提供し、緊張を和らげ、その後、再び緊張を高めるという絶妙なタイミングを演出してたなぁ。でも、何ちゅうても、今作品の真の主役はMama自身。
実写ちゅうよりCGIやったけど、それでも拷問されたマリオネットのように動く効果的なクリーチャーにかわりなかった恐い。
また、不穏な背景のおかげか、あるレベルでは共感できる幽霊のような悪役に仕上がってたのは違う意味で恐い。
彼女はただの口裂け女さんの類いやなかった。
また、多くのホラー映画やと、恐怖を与えたり、画面の外にある恐怖を明らかにするために、素早いカメラのカットや編集を利用している。
しかし、今作品は、カメラを回し続け、登場人物をフレームに収め続けるために多くの苦労をしたやろし、それが緊張感を高めるのに大いに役立ってんのとちゃうかな。
第2幕の終わりには、約5分間の長い追跡ショットがあり、容赦なく強烈やったトラウマ級。
また、Mamaは、最近の記憶では最も雰囲気のある、感動的な悪夢のシークエンスを作り出してたかな。
ほんで、ホラーアルアルの明滅する照明や、暗い廊下も、すべて以前に見たことがあるモンであっても、よく照らされ、活用されていた。
価値はあるが、今作品をすべて正しく理解すんのは難しい。
正直、筋書きに穴はあるし、脇役は登場するやいなや忘れ去られるし、陳腐な表現も存在する。
しかし、その欠点を克服さえすれば、恐怖は効率的で、安っぽく感じることなく、十分に得ることができると思います。 主要な登場人物はよく練られてたし、Mama自身を含め、恐怖が襲ってきたときに共感しやすい。
中途半端な怖さを期待して入ったが、気がつけば、深くて妙に感動的なゴーストストーリーに引き込まれていたのは確かです。
最近、とみに忘れっぽいし、何年後かは記憶の片隅に追いやってるやもしれへんけど、暫くはオシッコ行くときはビビりもって行くやろなぁと思いつつ了。
kuu

kuu