ミツバチゴロバチ

麦子さんとのミツバチゴロバチのレビュー・感想・評価

麦子さんと(2013年製作の映画)
3.8
吉田恵輔監督は、話の本筋にはそこまで関係ないちょっとした描写やキャスティングで、人物や作品にサブリミナルな多層性を加えるのがほんと上手いよな〜。それによって映画の奥行きというのかな、この世界は広がっていると思わせてくれる。麦子が世話になるミチルや井本の趣味へのこだわりとか、兄の彼女の佇まい。母の仕事とか。

あとこの映画、舞台(山梨県都留市)の撮り方がとてもいい。夢の中、思い出の中にあるような、昭和の田舎感。人口は少ないが過疎ではない、そこで成り立っている商店やお祭り、人間関係。もちろんこれは映画のマジックで、現実のそこはこんな風ではないんだろうけど、うわ、ここ行ってみたい。聖地巡礼したい。と思わせてくれる。

堀北真希さんが引退した今となっては、吉田監督のファンしか今後アクセスしない作品なのかなあと思うと、ちょっともったいない。あ〜観て良かった〜と思わせてくれる「ふつーに"いい"映画」でした。きれいに泣かせてくれて明るいエンディング。面白かった。