にゃんこむ

ねこにみかんのにゃんこむのレビュー・感想・評価

ねこにみかん(2013年製作の映画)
2.5
オール和歌山県ロケ。
一つの家族を通して絆を描くヒューマンドラマ。
エンディングの協賛やサポーターに和歌山県各所の企業が名を連ねていますが、この内容で大丈夫なの?と心配になる作品。

○舞台は「有田みかん」で有名な和歌山県の有田市。そこへ智弘が恋人の真知子を連れて実家を訪れます。
長男の智弘の他に、実家には3人の兄弟が住んでいた。
次男の隆志は高校2年生だが不登校で引きこもり、しかし成績優秀で頭は良い。次女のさやかは高校2年生で全寮制の学校に通っており、用があると実家に帰ってくる。長女の由美は高校2年生、地元の高校に通っており、ねこの『ぽち』の散歩が日課。3人の兄弟達はみな同じ年齢の為、三つ子かと真知子が尋ねると、全員母親が違うと答える智弘。
やさかの母は『カカ』と呼ばれており、スナック経営者。隆志の母は『ハハ』と呼ばれており、国語の教師。由美の母は『ママ』と呼ばれており、家の家事を担当している。この家は父親の『チチ』を入れて、3兄弟・3母・1父の7人で暮らしていた。
智弘は幼いときに両親が離婚し、母が『チチ』と再婚。その後に母を無くしており、この家の誰とも血がつながっていないという、さらにややこしい関係。

オープニングのテーマ曲がとても素敵。この曲が流れただけでお話に引き込まれます。ただ、始まった本編はオープニング曲と正反対の流れでびっくり。
家族を紹介された後に、真知子はいきなり温泉に連れて行かれ裸の付き合いに。智弘無神経すぎ。
しかもチチは離れに住んでいるという。大奥かな?

大人たちは常識から外れた者同士、家族として暮らすために努力をして形を取りまとめようとしているけれど、3人の兄弟達にとっては良い環境とは言えないので、可哀想だなぁと思っていました。案の定子供たちは自分の出自をコンプレックスに思っているし、隆志は性癖歪んじゃってるよ!

真知子の父親が出てくるシーンは、やや強引で違和感がありました。真知子の人間性のない父親を出して、不完全な智弘の家族を持ち上げているのが引きました。家族家族と言うわりに真知子の方の父親はどうでもいいのね……。
色々な家族があるけれど、僕たちは結婚して新しい家庭を作ろう!というのが最近の考え方だと思うのですが、この作品は全体的に昭和的な家庭観を描いている気がします。
家族を描く作品ですが、『家族だから』っていう言葉を多用しすぎてちょっとうんざり。

猫成分はねこの『ぽち』と「うち、みんな独立しててネコみたいな人間だから」みたいな台詞のみ。たまにみかんも思い出したようにシーンに出てきますが主役ではありません。『ねこにみかん』みたいなほんわかタイトルより、あの『万引き家族』的なセンセーショナルなタイトルの方が話題になったのでは?と思いました。

個人的には、いきなり姑が3人になるような結婚はやめといた方がいいと思います。……っていうかどんな家族であっても智弘みたいに大事な事を隠して、騙し討ちするような男とは結婚しない方がいい!
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