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ドリーマーズのKotaのレビュー・感想・評価

ドリーマーズ(2003年製作の映画)
4.4
“映画は覗きで、映画監督は犯罪者さ。”

追悼ベルナルド監督、僕がこの映画を観た次の日に亡くなりました。好きな映画ってのは大抵見ているうちにだんだん引き込まれて終わった後に「あー好きだった。」と思うんだけど、稀に開始5分で「あ、これ好きだ。」と感じてそれから何が起きても好きな映画がある。これはそれだった。パリに留学しているマシュー(マイケルピット)が、映画という趣味を通じてイザベル(エヴァグリーン)とテオ(ルイガレル)という美しいすぎる双子に出会い心身ともに惹かれていく。それだけの話なのに。

18禁だもんで、とりあえずエヴァグリーンのおっぱい丸見えだわ、マイケルピットもルイガレルもあそこ丸見えだわなんだけど、なんか直接的にエロい訳じゃなくて、鼻血が出そうなエロさなんだなこれが。小さい頃に女の人の裸を見てしまった時に感じる“見てはいけない(けど心の中では見たくてたまらない)”ものを見ている感覚。テオとイサベルは近親相姦だし、テオとマシューは同性愛だし、普段社会の中で抑圧されている事をスクリーンから見ているまさに覗き魔の感覚なのかも。

“君の名前で僕を呼んで”の時も思ったけど、見た目が美しすぎると、コンプレックスなんてないから人前ですぐ裸になったり出来るんだろうね。鏡を巧みに使って顔や体のパーツを間接的に写すのがすごく上手い。悔しかったのは彼らが何度もオマージュする30年代の映画が全然分からなかった事。これが90年代とかだったら結構勝負できると思うんだけど…

実はマイケルピットが演じたマシュー役は最初ジェイクギレンホールで、次はレオナルドディカプリオがキャスティングされたみたいなんだけど、ジェイクはフルヌードNG、ディカプリオは“アビエイター”の撮影と被って出演できなかったみたい。もしこれがディカプリオだったら間違いなくベストムービー入りしてたかな。好き嫌いがかなり分かれそうな作品だけど、これを好きと思えた自分の事が嬉しい。三人の文字通り体を張った演技に拍手!そしてベルナルド監督の一作目だったけど、もっと彼の作品を見ようと心に決めた、そんな不思議で惹きつけられる映画だった。
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