mkrose

ビル・カニンガム&ニューヨークのmkroseのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

この映画に出会った時もアイリス・アプフェルのドキュメンタリーと同じく非常に衝撃を受けた。

自転車でニューヨークを移動、食事は安いハンバーガー、レインコートは何度もテープを貼ってぼろぼろでも使い、昔人に裏切られたことを今でも胸に秘めてカーネギーホールの上の小部屋にたくさんの写真のストックと共に住んでいた。(数年前に他界されています)
写真たちも同じ収納家具に綺麗に収納されていて、性格の繊細さが生活や時折こぼす本音に表れています。

「お金をもらうと自由を奪われる、だから撮りたいものだけを撮る。ギャラはもらわない」とストリートスナップを撮り続ける。
ビルのスナップに写されたファッションから、後に流行となることが多かったため、ファッション界の重鎮から一目置かれるほど、ストリートスナップ界の重鎮となっていた。

ニューヨークで、ビルに撮影されることは名誉なこと。

そこまで言わしめても、孤独な老人であることが滲む瞬間、寂しさや過去の後悔、受けた仕打ちに苦しんだこと、ビルの人間味、やはり人の凄さとはプラスなものばかりで形成されるわけではない、深みや凄さは、苦しみを乗り越えたりした結果、となることがあるのだと学ぶことができます。

訃報を目にした時は、会ったこともないのに、とても寂しさが込み上げてきました。

素敵な作品を撮ってくれたこと、出会えてよかった、そんなドキュメンタリーです。
mkrose

mkrose