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ウォールフラワーのkuuのレビュー・感想・評価

ウォールフラワー(2012年製作の映画)
4.0
『ウォールフラワー』
原題The Perks of Being a Wallflower.
映倫区分G.
製作年2012年。上映時間103分。

1999年に米国で出版され、『ライ麦畑でつかまえて』(J・D・サリンジャー)の再来とも云われたアメリカンベストセラー青春小説を、原作者のスティーブン・チョボウスキーが自らのメガホンで映画化。
ローガン・ラーマン(カトリックの家族のキャラを演じているにもかかわらず、彼女はユダヤ人俳優はなんでもセナあかんなぁ)、エマ・ワトソン(ハリポタ後の最初の主要な役割)、エズラ・ミラーが共演する。

小説家を志望する16歳の少年チャーリーは、高校入学初日にスクールカースト最下層に位置付けられちまう。
誰からも話しかけられず、『壁の花(Wallflower)』のようにひっそりと息を潜めて毎日をやり過ごすことに注力していたチャーリーやったが、陽気なパトリックとその妹で美しく奔放なサムに出会い、生活が一変。
初めて友情や恋を知るが、過去のある事件をきっかけに、3人の青春の日々は思わぬ方向へ転がり始める。。。

人は、人生歩んでたら一度や二度位はウォールフラワー(日本語で『壁の花』。
パーティとか人が集まるとこで場に入れず壁際をひっそりと飾る花のようって意味です。本作品じゃ主人公チャーリーが高校生活で同級生に馴染めず、イラわれず目立たないように過ごしている状態がまさに『ウォールフラワー』。)になったことがあると思います。
それってのは、誰にも見向きもされず、逆に見向きもされない快適な空間とも云える。
チャーリー(ローガン・ラーマン)の場合は、深く埋もれていた事件が原因で、必然的に行動が変わっちまい、本当の自分は周囲から好かれてないんちゃうかと常に心配していた。
飄々とした性格の彼は、物語に登場すると、セラピーとして架空の友人に手紙を書き、もうすぐ高校1年生になることへの嫌悪感を告白してる。
余談ながら、作中、特に触れてないが、チャーリーはサムやパトリックと年齢が近い。
チャーリーの誕生日は12月24日で、ケーキには16本の蝋燭がついていた。12月の誕生日だと年長の1年生になり、本の中じゃ、チャーリーは感情的な問題で1年遅らせたと書かれてあった。
チャーリーが16歳になったとき、友人のほとんどは17歳だったはず。

本作品は、監督自身の小説(架空の友人に宛てた一連の手紙で構成されています)を基にしてるけど、実写の今作品は分かりやすく、複数のレベルで楽しめる作品となってると思います。
特に、80年代や90年代の海外の本や音楽、ミュージカルで使用されている象徴的なポップカルチャーが好きな人は引用にすぐに気づくんじゃないかな。今作品の青春物語には、友情や成長の痛みについての素晴らしいドラマやし、共感できるエピソードがいくつもあったり、気まぐれでノスタルジックな記憶の旅でもあるし、心に少しだけ近づき、受け入れたいって思うようになりながら観ました。
初恋の人や、その人のためにすること。
都合よく恋に落ちてなかなか離れられない人。
固い友情の形成。
カツアゲから受験までの学校生活。
印象を残し可能性を引き出すために励ましてくれる先生。
プロム(スティーブン・チョボスキーのインタビューによると、『エマ・ワトソン、ローガン・ラーマン、エズラ・ミラー、メイ・ホイットマンなど、常に仕事をしていたためにプロムに参加したことがなく、きちんとした卒業式を迎えられなかった人たちを見て、その子たちが私たちが当たり前のように高校生活を送れるようになるのを見て、とても特別な気持ちになった』とのことを読んだら尚更胸にガツンと来る)。
秘密のサンタクロース。
プレゼント。
くだらないパーティーや悪ふざけ。
課外活動。
安いスリル。
悪徳商法。
喧嘩などなど。
学校生活に関連する要素は、監督自身の経験を反映しているんかな。
本作品は、特別な人のために一連の曲をまとめたミックステープとでも表現出来る作品かな。
ミックステープの要素を、物語風に簡潔に表現してるし、どの要素も長居しているようには感じず、もっと見たいと思わせるだけの迫力がありました。 チョボスキー監督は、登場人物たちの間に信じられないほどの相互作用と対話を生み出し、彼らを本物のように表現してた。
この物語じゃ、過去に受けた心の傷がゆっくりと解きほぐされていくので、時折見せる一風変わったコメディに加えて、彼は深い感情を表現するタイミングをよく心得てるように感じた。
また、デビッド・ボウイの『ヒーローズ』が人生の大きな転機のブックエンドとして使われているサウンドトラックからもわかるように、彼の音楽センスは個人的にスキになりました。
笑ってしまうような場面、哭けてしまう場面、感動したり、触れたり、傷ついたり、過ぎ去った時代を懐かしんだりする瞬間が、『ウォールフラワー』ちゅう映画カプセルの中に収められてるようでした。
若々しいキャストによってしっかりと描かれた物語の詰まった今作品は、心と感情がたっぷりと詰まった青春物語で、とても面白い作品でした。

作中、クリスマスミサにチャーリーが出席するシーンで教会で流れている曲。 
秋の夜長に温まる曲っすねぇ

皆さんに栄光と平安が訪れるようキリスト教じゃないけど😊

(映画作品での音源がないし、Carols From Kings 2009. YouTubeより)

https://youtu.be/pliqObTHxUQ

More from Carols From Kings 2009. The choir sing the beautiful carol The Angel Gabriel.

The angel Gabriel from heaven came,
his wings as drifted snow, his eyes as flame;
"All hail," said he, "thou lowly maiden, Mary,
most highly favoured lady,"
Gloria!
"For know a blessed Mother thou shalt be, all generations laud and honor thee, thy Son shall be Emmanuel, by seers foretold, most highly favoured lady," Gloria!
Then gentle Mary meekly bowed her head, "To me be as it pleaseth God," she said, "my soul shall laud and magnify His holy Name." Most highly favoured lady, Gloria!
Of her, Emmanuel, the Christ was born in Bethlehem, all on a Christmas morn, and Christian folk throughout the world will ever say "Most highly favoured lady," Gloria!

     (愚訳kuuで申し訳ありません)
天から天使ガブリエル舞い降りる  
翼は淡雪に舞い
瞳は神々しき炎をたたえる
聖母マリアを褒めたたえる声がする
最愛の方に栄光あれ
祝福された乙女マリアは
人々の誉れ高き方
その男児インヌマニエルと予言され
最愛の方に栄光あれ

優しきマリアはうつむいて
神がお喜びになったと云った
私の魂は歓喜し
この神聖なる名前を叫ぶ
最愛の方に栄光あれ

聖母の御子インヌマニエルはキリストとなり誕生した
ベツレヘムのクリスマスの朝
世界中のキリスト教徒が口にする言葉
最愛の方に栄光あれ
kuu

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