Maoryu002

デタッチメント 優しい無関心のMaoryu002のレビュー・感想・評価

4.1
臨時教師として荒廃した高校に赴任したヘンリー(エイドリアン・ブロディ)は路上生活で体を売っていた少女エリカ(サミ・ゲイル)を見かねて居候させ、学校ではある女子生徒に悩みを打ち明けられるが、どちらにも深入りしないよう距離を置く。しかし、学校で事件が起きてしまう。

「アメリカン・ヒストリーX」のトニー・ケイ監督による、学校崩壊と教師の変化を描いた社会派ドラマ。

カメラワーク含めドキュメンタリー色が強く、テーマはとても重くすっきりもしないけど、エイドリアン・ブロディ、ジェームズ・カーン、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ルーシー・リューという豪華キャストのおかげもあって、しっかり娯楽作としても楽しめる。

とにかく酷い学校だ。
教師に唾を吐く生徒に、生徒に野垂れ死ねという教師、教師にビッチと叫ぶ親。
もちろん教師は導き、教えなきゃダメだけど、その前に家庭と親だろ!って思ってしまった。

ここで語られるのは、家庭を含めた社会環境全体の問題だ。
劇中でも少し語られたけど、“親になるための教育” が足りてないってことなんじゃないだろうか。

以下、ネタバレ。

ヘンリーは祖父と母と自分の闇深い関係から、保護者としても、教師としても、自信がなく深入りを避けている。
エリカを部屋に招くところはちょっと不自然に感じたけど、この作品ではそのエリカの存在が救いだ。

最後にヘンリーは無関心でいること、距離を置くことを止め、自分にできることをやろうと思ったんだろう。
それは、メレディスに言った “今を乗り越えるんだ” という言葉のとおり、自分の出自を克服するだけでなく、きっとHIV陽性がわかったエリカに、“君は大切な存在だ” と伝えることだ。

過酷な道のりだろうけど、ヘンリーは新しい人生を歩み始めたと信じたい。
Maoryu002

Maoryu002