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ゲルニカの木のJeffreyのレビュー・感想・評価

ゲルニカの木(1975年製作の映画)
3.0
「ゲルニカの木」

冒頭、ここはラミロ村。内戦時のスペインはファシスト反乱軍が全土を制覇、旗を持つ少女たちの登場、大空襲、包囲、カーニバル、処刑、徹底抗戦と一人の女。今、自由意志を貫く女の物語が始まる…本作フェルナンド・アラバール監督が1975年にフランスとイタリアで監督した映画で、この度彼の初期作品集3枚組のDVDパッケージを購入して初鑑賞したがどれも凄すぎる。本作に限っては非常にマニアックな映画である。男の〇〇を燃やしたり、グロテスクな描写ありで今ではクレーム満載のタブーな演出ばかりをしている。この監督神への愛情が半端ない。クライマックスの日の丸(夕日)のショットで終わるエンディングロールは余韻が残る。

さて、物語は内戦時のスペイン。ファシスト反乱軍がスペインのほぼ全土を制圧する中、ゲルニカに近いラミロ村もファシスト軍に包囲された。そんなラミロ村に、ゲルニカ大空襲を逃れた1人の女がやってきた。彼女は村人たちを鼓舞し、徹底抗戦を呼びかける。激しい戦闘が続き村人たちも善戦するが、ついに村はファシスト軍の手に落ちる。そして村人たちは、次々に処刑にかけられるのであった…と簡単に説明するとこんな感じで、フランスの伝説的な前衛芸術集団パニック運動創始者の1人にして寺山修司にも影響与えた劇作家として日本でもカルト的な人気を持ち、有名なのだが、今回は映画監督のアレハンドロホドロフスキーの盟友と言うことで知って非常に興味深く感じ手をつけた。そうしたら唯一無二の映像世界を堪能できた。

注意書きには15歳未満の方が、ご鑑賞いただくには一部に不適切な内容が含まれています。また作品の上映上ショッキングな描写が含まれております。15歳以上の方であっても、ご鑑賞はお客様ご自身のご判断でお願いいたしますと言う謳い文句があり、なおさら気になる。トータル上映時間274分の3本が今回垣間見れて非常に良い経験になった。今回は無修正版と言うことでデストリップフィルムから発売されている。またその発売元の名前もものすごいインパクトがある。

冒頭の数名の少女たちが旗を持って画面の方へ向かってくるファースト・ショットから魅力的である。続いてロバに日傘をさして乗っている謎の女性の妖艶な容姿と目力に圧倒されながらも、彼女がこの映画のキーパーソンになることを知る。素っ裸の子供たちが耳のオブジェを担いで荒野を渡るシーンや、小人が女とセックスする場面を映す場面の強力なクロスカットがすごくて、またオペラが流れるのもやみつきになる。少年の声で物語が語られる場面で、空襲を再現するオブジェの下りがあるのだがそこが面白い。他がすべて燃えているのにゲルニカの木だけは無事に残っている(オブジェの)。そこからカーニバルで踊っている女性のスローモーション映像に切り替わる。

中々、風変わりな作品でどう評価していいか少し難しい。ただホドロフスキーが好きな人は見れるんじゃないだろうか。
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