eucalypso

21ジャンプストリートのeucalypsoのレビュー・感想・評価

21ジャンプストリート(2012年製作の映画)
4.0
「レゴ・ムービー」からの「21ジャンプ・ストリート」。近年、こんなに腹の底から笑えた映画はないかも。

高校に潜入する覆面警官というアンダーカバー&バディ物で、スクールカーストの頂点と底辺にいる者同士が大人になってその呪いの現場に立ち戻ると、クールの概念が激変していて、お互いの立場が入れ替わる、という基本設定が秀逸。

ギャップを笑うコメディに上手くノレるかどうかは、そのギャップの張本人であるキャラクターの当事者性がビビッドにリアルに描かれてるか、そして、それを受け止められる度量がコチラにあるかどうかだと思う。その意味でこの映画との相性は◎。

バカをやる本人たちが本気でそのキャラクターに成り切り、作り手が彼らと同じ目線で並走してるのがビンビン伝わるから、「ほら僕らバカなフリしてるけどホントは賢いんですよー」的なイヤラシサが微塵もない。チャニング・テイタムが「ファ◯◯ン・マイルス・デイビス!」とシンバルに頭から突っ込んでも、そこに賢しらな意図というか意味がない。

ネタのぶっ込み具合、マッシュアップぶりも凄い。バディ物の面倒な手続きは無用とばかりに冒頭で2人はサクッと仲良くなるし、高校に潜入するシーンでの各トライブの紹介も「なんか俺らの時と状況変わってね?」的なウラシマ効果を持たせつつ、80年代っぽく見せてるけど違うから!と裏切ったり、ズラしのリズムがいちいち気持ちいい。

何はともあれ、ラリってる2人と教師との矢継ぎ早なカットバック、オフビートな時間感覚が赤塚不二夫か?!というくらい天才(次回作の誇大広告な予告編も同じく)。

最初から最後までマトモで「キング・コング 髑髏島」より遥かに魅力的なヒロインを演じるブリー・ラーソンを始め、アイス・キューブを本人がまんま演じてるみたいな警部、デイブ・フランコ扮する爽やかにネジれたイケメン、愛すべきナードな学生連中、劣情に負けがちな女教師など、サブなキャラの立ちっぷりも素晴らしい。

個人的には、ジョナ・ヒルには最後、発砲して欲しくなかったなー。肝心な場面で撃てない俺を演じてきただけに、あそこでも撃たないことで、臆病者の自分を受け入れて真に成長した、という描き方もできたと思う。テイタムは撃ってるけど、彼のキャラならアリだし。青春映画と犯罪映画のジャンル・ミックスの難しさ、座りの悪さをちょっぴり感じたり。

中盤のカーチェイス、なぜか爆発しないというアレ、2人は違う世界線に分岐していたというフラグで、ここでさらにSFを投入か!と激しく誤解、笑。しっかりジャンル映画の顔をしつつ、一体どこに落とし込むのか途中まで皆目見当がつかなくて、スリリング。

スクールカーストを描いた青春コメディとしては、「ウェルカム・ドールハウス」や「桐島部活やめるってよ」と並ぶ傑作じゃないかなと。
eucalypso

eucalypso