ワシ

共喰いのワシのネタバレレビュー・内容・結末

共喰い(2013年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

舞台は昭和末期。
17歳の主人公を中心に家族の愛憎を描いた物語。
抑えたトーンの中に、激しい感情や欲望が渦巻いた作品だった。
異常性愛の血を継いだ主人公の苦悩も、痛いほど伝わってくる。

この物語をどの様に消化していくか考えたとき、ワシは時代の移り変わりと共に、男性と女性の在り方も変わっていく話だと解釈してみた。
父と母は、男尊女卑の考えが強い時代の男と女を表してたんじゃないかな。
男尊女卑の権化の様な父はやりたい放題。
そんな父の仕打ちに、ただ耐えるだけだった母。
現在は父の元を離れ、蛮行とも言うべき父の行いを、自分が終わらせなかった事を後悔してる。

父と母が生きた時代は、男にとって男尊女卑が当たり前。
同じく、それが当たり前だと思い込んでいた(思い込まされていた?)女は、黙って耐えている。
しかしその胸中では、不満や怒りを静かに沸騰させてたのかも。
父の身勝手な振る舞いが、主人公の彼女…つまり若い世代に及んだことで、母は遂に「この連鎖を終わらせなくては!」と、意を決したのだろう。

タイトルにある「共食い」とは、男女が性交で互いの身体を貪ってる様子なのかも?
さらに言えば、男は女の心を食い散らかし、女は男の息の根を止め、命を食らったのではないか?

その後、主人公と彼女…つまり若い世代の男女の「耐える役割」は変わった。
さらに彼女の考え方も変わった。
しかし主人公は大して変わってないんだよね。
そして昭和が終わり、新しい時代が始まる。
男女の在り方も次のステージへ移った…のかな?
新時代、つまり平成以降の男女の在り方は、未だ先行き不透明…という結末に感じた。

下水と川のメタファーは、男の浅ましさ。
そして男の醜い欲望を受け止めてきた、女の強さや逞しさを表してたんじゃないだろうか?
知らんけど。

4/22 一部書き直し
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