志麻凛

真夏の方程式の志麻凛のレビュー・感想・評価

真夏の方程式(2013年製作の映画)
3.9
”真夏”とタイトルにあるが、冬の場面から始まる今作は実に面白い。槇原敬之さんの「冬がはじまるよ」では、8月の君の誕生日というフレーズから歌が始まりますし、こういう季節にひと工夫を加えたものは、やはり面白い。

そんな印象を最初に抱いた今作。映画としては2作目で、子供を苦手とする湯川(福山雅治)と小学生の恭平を軸にして描かれる物語。鑑賞してると、私も夏休みの自由研究で困っていた時に、湯川教授みたいな人がいてほしかったなぁ、と思いました。でも湯川が纏めた資料を見る限り、図やら数式やらを小学生の私には理解できなかっただろうな。

しかし、ペットボトルロケットを用いた奇抜な実験が子供心を尊大に刺激して、子供にとっては複雑な数式でも容易に分かるようになっていたに違いない。

今作はそのような子供心を嫌な形で利用してるのがおぞましい。昆虫採取やら竹で台を作成した流しそうめんやら、楽しく表向きに佇むもの。そこに隠れる悪い側面が浮き彫りになるのは、180°気持ちが揺れ動くことでしょう。

事件の顛末も非常に切なく、負の遺産が大きければ大きいほど苦しむ状況に、ただ胸が痛くなるばかりでした。容疑者Xに続いて、本当に切ない物語を描くガリレオシリーズは凄いと実感できた、映画鑑賞の時間でした。
志麻凛

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