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キリング・ミー・ソフトリーのmanacのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

エロありきの映画
ヒロインの行動心理が謎過ぎて、感情移入できないまま終わり。
サスペンス性も薄く、ただ単にヘザー・グラハムが濡れ場をやりたかっただけ、という脚本。


キャリアウーマンのアリスはある朝通勤途中で目の合ったイケメンアダムに一目ぼれし、仕事を放り出してアダムの後を追う。
ろくに会話もないままベッドインし、すっかりアダムの虜になったアリスは同棲中の彼氏を捨ててアダムと結婚をする。
幸せの絶頂と思いきや、アダムの不穏な過去に触れる機会があり急速に愛情が疑いに変わり、アダムの過去を調べるアリスだったが…

というあらすじなんですけれど…。
解説にもある、アダムを一目見た途端「体の中から熱いものがこみ上げてきたアリスは」という描写がなく、ただイケメン見つけてぽ~っとなっているようにしか見えない。
演じるヘザーの顔があまりにも可愛すぎるのも仇となった。
恋人と別れてアダムの元へ行ったアリスの浮かれぶりは、そのキュートな顔が功をなして(?)まるでティーンエイジャーの初恋のような様子だった。そのため、キャリアウーマンの大人の恋というよりは、後先考えない思慮の浅い女の愚行にしか映らなかった。

そして、その思慮浅い愚かな女アリスは、結婚してからようやくアダムのことを何も知らないと気づくのです。今更~
アダムの過去を調べるために知人の記者に成りすまして、インタビューを装って聞き込み調査を開始。
驚いたことにアリスはそれをその知人本人に話すんですよ。
本人に悪びれず話すあたり、善悪の区別がつかないのはもちろん、自分のしたことで相手にどういう影響があるのかも考えられないアリス。やっていいことと悪いことの区別がつかない子供と一緒。
全くキャリアウーマンのイメージと結びつかない。
アルバイトもしたことのない世間知らずの箱入り娘で、卒業後すぐに親の決めた相手と結婚して専業主婦になったという設定の方がしっくりくるかもしれない。
更に、アダムに殺人鬼の疑いを抱いたアリスは、なんとアダムの姉のところに助けを求めに行く。
この姉弟は元々仲が良いことは結婚前に十分わかっているのに。
普通そんなところに行きますかね。そんなに友達がいないの?


自立したキャリアウーマンという設定でありながら、やっていることは小学生じみた真似ばかり。
命の危険を感じて助けを求めるのが、容疑者の姉という親兄弟どころか知人友人もいないような天涯孤独ぶり。
訳の分からない人柄のせいで共感できない。
アリスのキャラクター設定がブレまくっているのが敗因と見た。




ネタバレになりますが。
ラストにアリスは「平地育ちの女と山男は一緒にはいられない」みたいなことを言っていました。
これも大勘違いです。
育ちの違いとか価値観とかそんなレベルではなく、二人がうまくいかなかった理由は成人しても尚子供のような思考と行動しかとれないバカ女と、やや個性的でかなりディープな過去を持った嫉妬深いイカレ男が自分勝手な行動をした結果なだけです。

とにかくヘザーが可愛いので、ヘザーが動いていればよいというくらいヘザー好きな人には価値ある作品ですが、映画としてはサスペンスでもラブストでもない、駄作でした。
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