きまぐれ熊

キャビンのきまぐれ熊のネタバレレビュー・内容・結末

キャビン(2011年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

ホラー映画オタクによるホラー映画オタクのためのホラー教養検定

何にも知らずに見てもB級映画としてそこそこ楽しい
ホラー映画ってこういうのはあるあるだよね〜、っていう丁寧な前フリを軽やかに飛び越えて裏切ってくれる

オマージュや暗喩満載の映画として見るなら最後のシーンをどう捉えるかで評価が大きく変わりそう
ぶん投げオチに見えたらクソ映画って評価も分かる

で、元ネタを余さず拾える人からしたら神映画になるんでしょうな

気さくなチャラ男へのフィット感が完璧なクリスヘムワーズとか、デトロイトビカムヒューマンのマーカス役ジェシーウィリアムズとか俳優陣の個性が強くて楽しい
シガニーウィーバーのサプライズも笑えるけど、この人何してんの?!って思えるかどうかで評価が変わってくるので要求される教養レベルが高い映画だと思うんだよな〜

劇中語られた通りの設定として受け止めればホラーをクトゥルフ世界で包んだコズミックホラーとも取れそうだし、メタネタ映画としても観れるしで、意外と読み解き甲斐のある映画。芸術性が高いと思う
まあでもクトゥルフ要素は設定がうまくフィットしただけでフレーバーっぽいね
ラストシーンは明確に人間の手だしな
メタ映画として見るのが王道かな

お約束を強要されるクリエイター達の悲哀を研究員になぞらえて批評しているとも取れる内容だけど、いずれにせよエレベーターシーンの大サーカスは愛がないと撮れない
ホラー映画のベタに対する無償の愛
愛がないとあんなギッチギチに詰め込めないでしょ

ネタバラシシーンで、
デイナが「は?処女?」みたいなリアクションなので、手順通り彼女だけが生き残っても神々はお怒りだったんじゃなかろうか
彼ら(僕ら)がおこだったのは愚者が生き残ってしまったことになのか、最後の生き残りが裏切り合うグズグズな展開になのか...
そもそもお約束というニーズを外された事に怒るのは何故か...って考えると“古きもの”ってネーミングセンスが言い得て妙
ホラーじゃなくても何のジャンルにもある構図だわ、古きものども
お約束を外しても楽しめるのは少数派なんだって事が、この映画の面白さを持って皮肉となっている
そう考えると、深みが増してもう一度見たくなるな
きまぐれ熊

きまぐれ熊