ノムラ

風立ちぬのノムラのレビュー・感想・評価

風立ちぬ(2013年製作の映画)
4.2
金曜ロードショーで視聴。第二次戦前後の戦闘機設計者の半生が描かれている。
風も飛行機も光も草も人も音も、今まで血肉を注ぎ生み出した大作の積み合わせが無ければ、この映画はこれほど完璧に出来なかっただろうなと思う。そんな宮崎駿監督の到達点のような作品だ。
あまり難しいことは考えずそのまま見たままに受け取るのがいい。というか、何年後かにもう一度観た方がいい。映画館で観た時はこんなもんか、と思ったが、大人になって二回目を観た時の方が、ああ監督はこういう葛藤を伝えたかったしその先も伝えてくれていたんだ、というのが少しだけ分かって沁みた。私はあまり気にならなかったが、当時は庵野監督が主人公の声だとバカにする意見が多かった。でもシンエヴァの諸々を知ってからは庵野監督がハマり役だったなあと思った。
自分はカプローニと二郎がピラミッドの話をするシーンが大好きだ。あと最後。どうして宮崎監督の幻想的なシーンはこんなに胸を打つのだろう。
主題歌ユーミンの「ひこうき雲」もいいが、劇中歌として繰り返し使われる久石譲の「旅路」が本当に素晴らしい。「旅路」に全てのエッセンスが含まれている。
正直言うと、私なら3時間があれば、千と千尋やもののけ姫の方を観る。でもこの映画は今までの娯楽物語じゃなく、人の話を聞くような映画なので楽しみ方が違うよな、とも思う。そんな不思議な魅力がある映画だ。
ジブリが好きな人、特に「風の谷のナウシカ」が好きなら絶対気にいる作品だ。
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