Kota

パフューム ある人殺しの物語のKotaのレビュー・感想・評価

3.7
“僕はパリで一番の嗅覚の持ち主だ。”

18世紀のパリで生まれた青年(ベン・ウィショー)は嗅覚が異常に優れていた。彼はこの世で一番の匂いが女性の“体臭”である事に気づくと、手段を選ばずにその匂いを保存する方法を模索する。

2006年までの統計だとドイツ映画で一番お金を掛けられて制作された映画。ベン・ウィショーの才能が顕になった作品なのは元より、彼をダスティン・ホフマン、アラン・リックマンなどのベテランが囲み18世紀のパリを再現するための衣装や装飾からも溢れ出る拘りが凄い。冒頭のパリのシーンは魚や肉の匂いが本当に酷く、10キロ現場から離れた場所で臭いがしたほどだそう。映画のテーマが“匂い”なだけにこちらまで色んな匂いがしてきそうな程細やかな撮影技法に天晴れ。

ラストシーンのベン・ウィショーの背後でボヤけた群衆がひれ伏すミディアムクローズアップショットは映像学の本でも取り上げられるほど。展開はファンタジー寄りではあるけども、内容はかなりリアリズムで人間の本質を突いてくるから単純なサイコキラー映画と思って見たら面食らうほどのクオリティ。
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