CureTochan

アウトローのCureTochanのレビュー・感想・評価

アウトロー(2012年製作の映画)
2.8
リーチャーのドラマが良いので、試しに鑑賞してみたんだけど、残念ながらいいところがなかった。原作の小説はページターナーといって、ダン・ブラウンのように先が気になってやめられない、というジャンルのやつなんだけど、それをよくもこんなに退屈な映画にできたものだ。次から次に展開するのが面白いのに、プロットを削っちゃって、それでいて各シーンは退屈。ページをめくるのではなく、カーソルキーを叩いてスキップするのに忙しかった。

同じような小説を原作にして、映画2-3本分の長さを使っているドラマのほうがテンポがいい。要するに映画のシナリオのできが悪すぎるのに、そのまま制作を続けるトム・クルーズが悪い(MIなんてシナリオ出来てないのに撮りだしたとか言ってるし)。だから優秀なスタッフもつかない。脇役が、すでに大作映画で見たことのある顔ぶればかりで、いつも新鮮さに欠ける。キャスティングスタッフにも問題があるわけだ。

こういう小説には作法があって、各シーンで中心になる人物を外から描くのではなく、思ったことがそのまま書かれている。主人公でも犯人でも、(先がわからない範囲で)内面が描かれるので、察する必要がなく頭を使わないで読めるのだ。ところが内面を映像にするのは、ちゃんとした技術が必要で、失敗すると何も生じない。あまりに退屈だからクライマックスにはさすがに何かあるだろうと思ったら、そこが一番ダラダラしていた。爽快感のない謎の殴り合い。雰囲気だけで何もしないラスボスの動機も死に方もつまらない。なんでそーなる??CO2排出を増やしただけである。

これで懲りた原作者が全力でコミットしているから、ドラマの方はちゃんとしてるのだろう。原作からの改変もバッチリで、読んだ話でも楽しめる。
CureTochan

CureTochan