horahuki

鮮血!!悪魔の爪のhorahukiのレビュー・感想・評価

鮮血!!悪魔の爪(1970年製作の映画)
3.4
判事→エクソシストへのクラスチェンジ!!

「悪魔なんて迷信!」と笑ってたのに、本を読んで即心変わり!たった一冊だけでその道のプロフェッショナルを気取る都会の判事が、ド田舎村で好き放題暴れ回る邪教集団に戦いを挑む!例えるなら『ウィッカーマン』のハウイーが学習してから邪教村に再突入する…的なフォークホラー御三家の一角。

ハマーとアミカスが双璧だった当時のイギリスホラー界で苦戦を強いられていたTigon British Film Productionsによる『Witchfinder General』に続くフォークホラー第二弾。舞台は18世紀初頭のイギリスの農村。キリスト教を信仰する敬虔なド田舎村の若者たちが復活した悪魔に取り憑かれてしまい、邪教集団を形成。それが疫病のごとく村全体を飲み込んでいく…って感じのお話。

教祖的な存在が若い美女(リンダヘイドン)というのが面白く、若者を中心にどんどん邪教側に取り込んでいく。花の冠みたいなのをかぶり、10代の少女を連れ出しては信者の前で公開レイプするという『ミッドサマー』みたいなシーンもあり、それをニヤニヤしながら見てるジジババのキモさがエゲツなくて笑った🤣

悪魔が発見されるのは土の中。体は腐ってんのに目ん玉だけ原型留めてるのが相当キモい…。出土するというのが、キリスト教により侵略された跡地としての意味合いを強くし、『デモンズ3』や『エクソシストビギニング』『Dominion』等と同様に、異教徒たちの虐殺された過去を想起させる。過去からの反逆としての異教の蔓延はペスト等の疫病ともリンクし、更には教義により抑圧された村社会の排他的な悪癖を炙り出す…というフォークホラーの王道。

『デモンズ3』のような「理解できないものへの拒否反応」が悪魔を作り出すのだということを、村の外より嫁いで来た部外者への対応によって描き、それがこの土地に眠る過去の写し鏡となるのも的確。「理解できない・理解しようともしない」村人たちと対比して、農村にやって来る判事が本を読むという超簡略した方法ながらも、理解したうえで対処しようとする姿が面白い。

私も〇〇に拐ってほしいとサラッと口にする者もいるように、抑圧的な教義が如何に若者たちを縛り付けているかを強調し、それとは真逆な自由奔放な異教へと絡め取られていくのは、悪魔云々は置いといて、若者的衝動の解放として、抑圧の独善的な腐敗を突くあたりも真っ当で良い感じ。正直そんなに面白くはないのだけど、『ミッドサマー』とか『ウィッカーマン』好きなら見る価値あるかも!
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