あまのかぐや

将軍の娘/エリザベス・キャンベルのあまのかぐやのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

タイトルからして地味な作品と思いきや、予想外なほど重い、痛い後味を残す作品です。数年前見て、あまりの悲惨さに見なかったことにしたかったぐらい。

今回、巨大な組織による犯罪の隠ぺいに関わる映画を見て、これを思い出したので再見しました。

舞台は米国陸軍訓練基地。女性士官エリザベスキャンベルの「異常な状態での(ここポイント)」全裸絞殺死体が見つかる。彼女は心理作戦班の将校で才色兼備のエリート。しかも父は次期副大統領と目される将軍。
犯人は、真相は、そして背景は、と、事件を追ううちに、エリザベスキャンベルの表向きと違う顔が暴かれ、暴くことでいろんな表向きの事象が覆され、結果、隠され続けた過去が現れる、というサスペンスの王道としても楽しめる。いや決してすこしも楽しいところなんかない、だれも幸せではない話なのだけど。

主演で、事件の真相を追う軍内犯罪捜査官は、ジョン・トラヴォルタ。こういっちゃなんだが、どうみても悪人面で私服でも軍服でも怖いものなしの分厚い体躯。しかも事件の前に偶然今回の被害者と会っているときのにやついた言動が胸糞悪くて。「おまえどう見ても女性蔑視主義者の悪人だろ、この笑顔は」って感じ。ごめんなさい。捜査の相棒として呼ばれるマデリーンストゥが、これまたこの人の美貌全開の時期で、軍にレイプ専門も捜査官として来るのに女全開のそのいでたちか、っていうね。まぁしょうがないね、マデリーンストゥだもん。しかし、この二人の捜査官が、アクションも切り込みも頑張ってるんだけど、なんとも存在が浮いてて不快に思うのはおかしいかしらね。

その他の軍周辺の登場人物、ジェームズクロムウェルもティモシーハットンもみな軍人役が似合いすぎて、いちいち胸糞悪くて、・・・。なんかわたし不快な点しか書いていないけど、真相が気になって、たぶん見始めたら止まらないことでしょう。

これはキリスト教の禁忌よりかは、日本人としてはとっつきやすい内容ではないかなと思います。ただ米国の軍という組織の巨大性密室性があまりに大きすぎて・・・でもそこに隠されていること、まかりとおっていることは多々あるんだろうな、という漠然とした諦念も。
実際、現実社会でも旧式なところまだまだ普通にあるし「女はお茶だけくんでりゃいい」とか「女が上司なんて」って風潮がないわけじゃない、けど、自由の国、ジェンダーフリーのアメリカにしてもこれか。まだまだ旧式で分厚いカーテンの向こうに隠されているのが、この世界なのかな、と、とてもショックでした。
ちょっと方向性としては桐野夏生の警察小説を思い出しました。

「将軍の娘」というタイトルがすべてを表しています。父ゆえに軍の最高幹部だったゆえに、守らなければならなかったものとは。・・・
隠ぺいといってもただただ権力欲のままに、ということではないところが、また痛々しい。

タイトルロールなのにキャストにも名前があがってない将軍の娘役のレスリーステファンソンという女優。マデリーンストゥにも負けず劣らずの怜悧な美貌で、意志のある強い眼差しが印象的とみていましたが、ラストに向かうにつれ、その眼差しの強さが狂気の色に見えてきます。
imdbによると、メジャー作にはしゃまらん監督の「アンブレイカブル」に出演したりしていたようですが、2003年を最後に映画やテレビなど関連の活動からひいたその後、ジェームズスペイダーと一緒になってるらしい。アベンジャーズAoUのプレミアの画像をさらうとスペイダー氏の横に変わらぬ美貌の彼女がいました
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