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バーニング・ムーンのミスターのネタバレレビュー・内容・結末

バーニング・ムーン(1992年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

薬物中毒の男が妹を寝かしつけるために話す二つの物語。古典では千夜一夜物語に代表され、イギリスの怪奇小説であるゴシック小説では鉄板のフレームストーリと呼ばれる構造を採用しており、破天荒でいながら実は堅実な構成をしている。演技やカメラアングルなどはかなりチープだが、確かにラスト10分の見応えはかなりのもの。臓器が飛び散った赤々とした空間を、半壊した顔面に損壊した手足の亡者が這い回る。そんな阿鼻叫喚の中で繰り広げられる拷問はこだわりが凄まじい。目玉をくり抜き歯にドリルで穴を開け、腹を開き、最後はまたさき…
他の方のレビューにもあるように、正直その場面だけのための映画とも言えるが、二つのストーリーとフレームストーリーに共通して、社会に理解されず、自分らしく生きることを否定された若者による社会への復讐、というプロットがある。月が燃える。それは安らぎのない若者が社会への復讐を誓うサインかもしれない。涙を流しながら自害した主人公の思いを考えると、許し難いと同時にふと切なさを感じる。
今日見上げる月は燃えていないことを願いたい。
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