うかりシネマ

天才マックスの世界のうかりシネマのネタバレレビュー・内容・結末

天才マックスの世界(1998年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

学校新聞発行人、フランス語クラブ部長、模擬国連ロシア代表、切手とコイン・クラブ副部長、ディベート・チーム主将、ラクロス・チームマネージャー、カリグラフィー・クラブ部長、天文同好会創設者、フェンシング・チーム主将、陸上十種競技二軍選手、第2合唱団指揮者、爆撃ゲームの会創設者、カンフー・クラブ黄帯保持者、トラップ射撃クラブ創設者、養蜂クラブ部長、ゴーカートの会創設者、フィッシャー劇団演出家、軽飛行機クラブ飛行記録保持者といくつものクラブを創設したり兼任するマックスは、校長からラシュモア校最悪の生徒と呼ばれていた。
新任教師のローズマリーに恋をしたマックスの日常が描かれる。

初期作品だけあってウェス・アンダーソンらしいキッチュでシンメトリーな構図は少ないが、それゆえに普通の映画っぽいのに印象に残るカットが多い。
マックスは勉強はできないが活動的で、悪人ではないが迷惑をかけ、己を曲げないが周囲を笑顔にする。マックス以外にもローズマリー、恋敵であるハーマン、それ以外のキャラも、誰もが多面的な性格を描写され、単純な善人や悪人としては描かれない。

ドラマに大きなイベントはないが、些細な日常がマックスを変え、周囲に波及していくさまが面白い。
冒頭の無数のクラブ紹介や劇中劇、クライム要素などウェス・アンダーソン的なものをウェス・アンダーソン的でない演出で観られるというのも贅沢。
物語は必要最低限の要素だけで構成されなければならないが、同時にミスリードも必要とされる。それでいうと、クラブ紹介のシーンはそれ自体で一つの演出になっており、ドラマとして必要な部分を引き出すためにも機能しており、美しい。
分類としてはお洒落な恋愛映画だが、男のための映画だと思う。