あしからず

弁天小僧のあしからずのレビュー・感想・評価

弁天小僧(1958年製作の映画)
3.9
時代劇の定石の積み重ねに歌舞伎の一場面を挿入して尚このまとまりの美しさ。ジャポニズムな画と鳥居の上や瓦屋根まで縦の空間も自在に使った立ち回りの動が魅力。
題材の『白浪五人男』は未見ながら艶やかな女の着物を脱いで刺青を見せ「知らざあ言って、聞かせやしょう」が出た時はワッと湧いた。歌舞伎役者としての雷蔵さま観れて感動。
強姦未遂シーンの熱量が良くて、あの臨場感とムチ的なものを唸らせる雷蔵さまの執拗さがエロ(強姦は勿論だめ)。青山京子のしっとりした色気も良いが、女装雷蔵さまにはやはり敵わない。三日月の傷と御髪の乱れが200点。
ふんどし映画でもありちょっと照れ。鳥居のシーンのチラリズムと着物の裏地の青がステキ。実は花嫁も雷蔵さまかと期待してしまったなど。
ラストの無情がロングショットで強調されて染みた。
あしからず

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