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熱狂はエル・パオに達すのhorahukiのレビュー・感想・評価

熱狂はエル・パオに達す(1959年製作の映画)
3.5
ブニュエル自身が失敗作扱いしているようで、否定派も多いようだけど、それなりに楽しめる娯楽作品って感じで面白かった。

独裁的な統治に民衆(特に囚人)が苦しめられている架空の島を舞台に、理想を追い求める1人の若者が改革を企てるという反権威主義的な内容で、そこにラブロマンスを加えたような話。だけど、同種映画とは違った「毒」を仕込むのは流石のブニュエルで、革命を起こす英雄としての力強さを全く感じさせない普遍性をそこに付与するあたりが好き。

積極的に社会と関わろうとすることで、社会の「鎖」に絡めとられる。それは『忘れられた人々』でも感じたジレンマ。結局は足枷をされた囚人たちも彼と同じ存在でしかなく、人間の本質がどんなものであれ、その社会との距離感あるいは上層へ至ろうとするポジティブさが逆に鎖を強固にする。

ブニュエルに期待してるものはあまり感じられなかったのだけど、作風の振り幅が凄いなってのを改めて実感。でも足フェチなところはしっかりとあって笑った!🤣ただ脅して脱がせるんじゃなくて徹底的に辱めるというか、「君が誇りを捨てる瞬間をじっくり見たい」とか言うオッサンのキモさにはブニュエルの拘りを感じました😂😂流石でございます❗️

というか一緒に『欲望のあいまいな対象』も借りたのだけど、ちょうど真ん中くらいで再生できなくなった…😭めちゃくちゃ面白かったのに〜。
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