horahuki

Hotel ホテルのhorahukiのレビュー・感想・評価

Hotel ホテル(2004年製作の映画)
3.5
今日から公開『リトルジョー』のジェシカハウスナー監督の過去作漁り②。一作目の『ラブリーリタ 』の時点でかなりのホラー味だったけれど、2作目で普通にホラー撮ってた。とは言ってもハウスナー監督だけあって、凡なホラーでは終わらせないあたりは流石!…というべきかどうかはわからないけれど凄味はあった。

最近でも『イットカムズアットナイト』や『ロッジ』等々「何も起こらないホラー」と揶揄されているのを良く見かけるけれど、本作はマジで何も起こらない。ホテル従業員として雇われた若い女性が日々の業務を淡々とこなしながら、男とクラブで踊ったり、うるさい客に文句言ったり、森とか洞窟に探検に出かけたり、誰もいない深夜業務中に自主タバコ休憩したりするだけ。

その中で、前任者の女性が行方不明で見つかっていないという嫌な事実や、森の魔女の言い伝え、プールで泳いでる間にネックレスが盗まれて眼鏡が割られてるというちょっとした事件等々、何かしらの進展を見せそうな事柄を小出しにしつつも、そこからも目立った進展は見せない。

『ルルドの泉で』なんかは最も分かりやすさを備えた作品だったけれど、本作はその対極に位置するものだと思う。外的事情をばらまく中で、それに対するリアクションを元に精神分析的に主人公の内面を掘っていくような内容になっており、ばら撒かれる外的事情にはそれほど重きを置いてはいない。つまりは関係ない。

そして、その「外的事情は無関係」であることこそが恐怖であると本作は指摘する。ホテルという閉じた職場コミュニティを舞台とし、泊まり込みで働く主人公を含め、同じ建物内であるにもかかわらず誰もがお互いに関わりのない「個」でしかない。そこからは『シーバース』と同様の発想が想起され、どれだけ近しい距離にいたとしても自己と外的事情は決して交わることはないという他者との断絶が浮き彫りになる。

プールで泳ぐという象徴性は彼女の孤独な感情を強くし、メガネによる同化欲求が『レベッカ』的痛々しさもまた彼女に与える。そして共同体から締め出された彼女は…。

ホテルの部屋で大音量で音楽鳴らしてノリノリ騒いでる若者グループがいたんだけど、注意しにいった主人公をクソみたいに煽ってたハゲのオッサンが他の若者たちの騒いでる横で俯いてひとりだけフラッフラしてたんだけど、こいつ何が楽しいんかな。すぐ横では若い男女がイチャコラ踊ってるのに。

昨日でフィルマ登録されてるハウスナー監督作は全部見たので、『リトルジョー』楽しみ👍寝ないように注意しないと…。この監督さんどれも睡眠導入効果強すぎるから心配😱
horahuki

horahuki