カルダモン

ガリバーの大冒険のカルダモンのレビュー・感想・評価

ガリバーの大冒険(1960年製作の映画)
3.8
ジョナサン・スウィフト著『ガリバー旅行記』全四篇の中から二篇。小人の国と巨人の国から学ぶ世界。

見上げるアングル、または見下げるアングルから、もっと露骨に優位劣位を描くのかと思いきや意外とすんなり馴染んでる節もあり、一転して取ってつけたような理由で軋轢が生じる。全体に散りばめられたコメディ要素も手伝って、たぶん今の子が観ても楽しめると思います。

フォトコラージュのような画面はどこを取っても魅力的で楽しい。ただ縮尺の雑さがなかなかとんでもないですね。いくら児童向けといえど無理があるというか、ツッコミ前提かと思うくらいで。特に酷かったのが魚を帽子で掬い上げるシーン。頭パニックになりそうなくらいメチャクチャなので必見。
この時代の特撮映画を連続して見てると常に縮尺問題が付きまとっているのがよくわかるのですが、中でも際立ってましたね。
劇中のリリパットのセリフに「数学者の計算によると私たちの1728倍になるそうです」なんてことを言うのですが、どう考えても1728倍はありえないよね。

ストップモーションの特撮が味わえるのはネズミとワニ。どちらもなかなか凶悪そうな顔してるし、質感もグッド。先日どこぞの議員が見ていたワニ動画ってまさかこれかな?

「巨人も小さな人間も我々の心の中にいる。間違いを犯したり、わがままになるのを望んでる」なんて言葉で締めるラスト。自分がどんな風に見えるのか、単に体の大きさの問題ではなく、他所の土地を踏み客観視点を持つべきだと教える。