だすぷーちん

レクイエムのだすぷーちんのレビュー・感想・評価

レクイエム(2009年製作の映画)
4.5
 憎むな

   殺すな

     赦しましょう

      川内康範

それは、確かにそうなんだけど、実際、自分の身に降りかかったらどうだろう。そう考えさせられました。

1975年。
北アイルランドでは、反目するプロテスタント系住民と、カトリック系住民が、いつ終わるかもわからない闘争をくりかえしていました。

プロテスタント系民兵組織UVFのメンバー、といっても、下っぱの下っぱ、17歳の少年アリスター
は、「いっちょ、この組織でのしあがりたいんで、やらしてもらいますわ!」と、かっこをつけるために、覆面つけてカトリック系のお家に押し入ります。

どうやら、憎きカトリックを撃ち殺すと、組織では出世出来るらしいのです。

どこかの国の反社と一緒ですな。

標的のお家の前に行くと、10歳くらいの少年、ジョーが、ヘラヘラとサッカーの練習をしていました。

ジョーは、標的の弟でしたが、アリスターには、そんなこと分かりません。

二階に上がると、標的の胸に、鉛の弾をぶち込みます。

一発、二発、三発、ついでに写真立ての猫にも一発!

やることやったら、とんずらです。
アリスターは、その時、下にいたジョーと目と目があいますが、逃げるのにいっぱいいっぱいだったので、ジョーに鉛の弾をおみまいすることはせず、盗んだフォードで走り去るのでした。

悲惨なのは、この後のジョーです。

母ちゃんに、

「お前のせいで、あんちゃんが殺されたんだよ!このあほ!」

と怒鳴られ、ボコボコにされ、心の傷が残ってしまいました。

その後、アリスターは、警察に捕まり、12年服役。

大人になった彼は、自分の犯した事が誇れることではない事を身をもって知り、遺族に贖罪をしたいと思うようになりました。

そして、アリスターとジョーは33年後、テレビのドキュメンタリー番組で、再会する機会を得ます。

しかし、その二人の想いには、激しい乖離が。

赦しを乞いたいアリスター。

緊張しながら、ジョーを待ちます。

一方、自分の人生を滅茶苦茶にされたジョー。

ジョーは、奥さんと二人の女の子に恵まれた生活をしていましたが、アリスターに対する怨みは忘れません。

ジョーは、憎しみを込めたナイフを懐に忍ばせ、会見の場に、臨むのでした……。

二人の心に、

 憎むな

   殺すな

     赦しましょう。

この心が芽生え、新たな人生をやり直せる日が本当に来るのか、どきどきしながら最後まで観ました。

観終わったら、自然に涙が出てきました。

良作だと思います。
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