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ホラー・ホスピタルのhorahukiのレビュー・感想・評価

ホラー・ホスピタル(1973年製作の映画)
3.7
私はパペットマスターだ!

イギリスホラーの中心的存在だったハマーフィルムが低迷期に入り、イギリスホラー全体が衰退を辿ることになる70年代前半に製作されたマッドサイエンティストもの。別々の理由で山奥にある精神病院にやってきた男女が案の定帰れなくなり、あの手この手で脱出を試みるお話。

男は息抜きの休暇で、女は経営者の叔母に会いに精神病院にやってくるんだけど、駅まで迎えに来るのがバスとかじゃなくバイクっていうのが既にイカレてるわね。しかも冒頭でブレードライガーみたいに横から刃が飛び出る黒いリムジンで首チョンパするという、笑って良いのかダメなのか絶妙なラインの殺害シーンを見せつけてくるから気になって目が離せない!ちなみに切断した首はリムジンの後方に取り付けた袋にそのままインするという超便利仕様。

というか、精神病院に息抜きに泊まりにやってくるっていうのは70年代イギリスでは良くあることなの?この主人公さん、旅行代理店で勧められて飛びついてたけど、絶対行かないでしょ。。。しかも新聞広告も出してて、それなりに旅行者いるようだったし…。

テーブルに並んで座った、服も顔色も白い色をした患者たちと対比するように真っ赤な衣装を来た経営者のオバさんの気持ち悪さ…というかこのオバさんの服が赤ちゃんのお包みみたいで普通にキモくて笑っちゃう😱途中でずらっと並んだベッドに寝てる患者たちが一斉にヒロインの方を向くっていう恐怖演出があるんだけど、律儀に患者ひとりに対して一回悲鳴を上げるヒロインの人柄の良さも笑った。

とはいえ、古城のような精神病院の外観&内装が美しく、小人に誘われて2人が大階段を登っていくところなんて、柱を挟んでのカメラ移動で手前左下から奥の右上へと少しずつ上がっていく始点・終点への動線の構図と見せ方がめちゃ綺麗。

自称パペットマスターのオッサンは確かに見ようによってはパペットマスターだったし、そうかと思えば最終的には『怪人スワンプ・シング』になっちゃうしで、なんかもう良くわからんけど、最後まで飽きさせないような「変」がそこら中に転がってて、見てて楽しかった。
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