今年ダンテの『神曲』を読んだので、オリヴェイラのこちらも今年中に観たいと思ってて、忙しい年末に滑り込みでなんとか観れました。
オリヴェイラの描く『神曲』は、ダンテとは全然違います。
舞台になるのは精神病棟。
冒頭、旧約聖書の有名なアダムとイヴの場面から始まります。
ドストエフスキーの小説の登場人物に準えた役者達。
登場人物達の豪奢な衣装、ここは本当に精神病棟なのか?
そのセリフは劇中劇として用意されたものなのか、それともよりリアルなものなのか。
キリスト教、ドストエフスキー、ニーチェなど、日本人がこの映画をより理解する為にはそのあたりの知識がそれなりに必要かも知れないです。
でも、僕もドストエフスキーはまだまだ手元にあっても読めていない浅学非才の身ですが、それでも素晴らしい映画だと思えました。
ちなみに、本作で女優として起用されたピアニスト,マリア・ジョアン・ピルシュは、劇中でピアノを弾かせる為の起用でもありました。
崇高な芸術性を存分に発揮しつつ、観るものに問いかけているようで、ラストの〝カチンコ〟で「これは所詮映画なのだ」と自らオチをつけるオリヴェイラ。
凄すぎ。