もものけ

ホット・チックのもものけのネタバレレビュー・内容・結末

ホット・チック(2002年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

もし、自分に自信が持てなくなり、酷くふさぎ込んでしまった時、この作品を観てください!
自信を取り戻すことが、出来るかもしれません…。

家族、美貌、彼氏、全てに恵まれたジェシカは学園カーストの最上位に君臨するチアリーダーのエース。
持って生まれたその自信から、性格が悪く恨みを買ってばかりでも、弟にだけは優しいお姉さん。
ある日、モールで見かけたアンティークショップでイヤリングに一目惚れし、店員の目を盗んで持ち帰る。
しかし、翌日目が覚めると汚らしい男の中年に変貌して狼狽えるのだった…。


感想。
終始、ブラックジョークネタと下品なジョークで、差別や侮蔑など今では控えられる演出ではありますが、古き良きコメディ映画として非常に楽しめました。

見た目はパットしない役者ロブ・シュナイダーが、ハイスクールの女の子を演じているのですが、これがまた中年の見た目なのに、表情が乙女を演じこなす演技力には、笑いながら驚きを隠せません。
「トッツィー」のダスティン・ホフマンや「ミセス・ダウト」のロビン・ウィリアムズの女役は、色気こそありますが、やや演技に見える反面、こちらのロブ・シュナイダーは、そっち系の人かと思えるくらいに女性っぽく、コメディ演技でありながらも、目の中にキラキラと乙女が見えるほどです。

対する男役を演じるレイチェル・マクアダムスも好演で、デビュー作品でここまで表現する演技力は圧巻で、美しい見た目を大袈裟に振る舞って、まさにコメディ映画として笑わせています。

しかし、この作品はアメリカ映画コメディにあるドタバタ劇でありつつ、センチメタルなシーンも盛りだくさんで、笑いながら何度も泣かされてしまい、いつの間にか鑑賞者がスッキリ感情で元気になる不思議さを持っておりました。

主人公も、見下していた存在に近づいて分かるそれぞれの想いを通して、成長していく様かと思いきや、両親のキューピッドになったり、友達の恋愛相談の相手になったりと大忙しで、家族愛や兄弟愛、親友愛、人種を超えた愛、性別を超えた愛など、様々な「愛」のテーマをふんだんに物語へ盛り込んでおり、笑いながらそれぞれの立場の苦悩などを垣間見せ、平和な社会への希望のように、メッセージ性もあり深くもあるコメディ作品です。

まだキャリアの若いアンナ・ファリスなどのキャスティングもとても良く、主人公よりヒロインとなっているのも面白いです。

見た目が変貌し、ナルシストの塊だった主人公が自信を喪失し、途方に暮れる視点で、周りの登場人物達の喪失した自信を通して、それぞれがラストには自信に満ち溢れる展開には、鑑賞者側にも希望を持たせるハッピーエンドなのは、気楽に鑑賞できるコメディ映画として名作でありました。

基本的には、主人公のピュアなラブストーリーではありますが、心温まるという表現がピッタリな名作に、4点を付けさせていただきました!
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