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パリのスキャンダルのpikaのレビュー・感想・評価

パリのスキャンダル(1946年製作の映画)
4.0
ジョージ・サンダースがとにかく魅力的!女の心と宝石を盗んで行くカサノヴァ的悪党を愛嬌たっぷりに好演していて、サークの丁寧な演出やコミカルでドラマチックな展開以上に彼の存在感が作品を引き立てていると言いたくなるほど。

主人公が自伝を朗読するという冒頭から大まかな展開は知った状態での鑑賞になるタイプのドラマで、中盤ダレて退屈にはなるけど、それを補って余りあるほどラスト15分のサスペンスフルな緊張感やダイナミックな映像、エンディングに向けて駆け抜けて行く爽快感など声が出るほどワンダフル!
現代であれば如何様にもリアリスティックに描けるようところを真っ直ぐなドラマにしてしまう「夢とロマンのカタルシス」が逆に新鮮。

サークと言えば鏡や影や小物などの演出が特徴的だけど、今作は影の演出が至高の素晴らしさで、ドラマチックな上、意図も十分だし画的にとても美しく、シーンの生む多面的な効果が凄い。
クライムコメディ的な側面が強いドラマなのでサーク演出としては物足りなさが多少ありつつ、ロマンスのシーンはやはり極上に美しく、そこだけで作品の魅力足らしめるレベルの力強さはさすが。
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