初めて1本の映画を観るために中古5万近いDVD買ったんだけど全く後悔してない。
とんでもないカルト映画だったし本当に観て良かった。
ハロルドとモードで有名なバッド・コートが主演を務めている(あの映画も素晴らしいよね)
冒頭、アメリカの国歌が流れる…
舞台となるのはテキサス州ヒューストン。
雇われ介護の仕事をしている主人公は最初の20分以上セリフが一切ない。
「あれ、もしかしてこの子喋れないの?」と不安になったほどだ。
だがそんな寡黙に働く彼には他人が想像もつかないような大きな夢があった。
それは鳥になって空を飛ぶこと。
彼は屋内野球場の地下に住み着き、レオナルドダヴィンチの如く有人飛行装置を発明しながら筋トレに励む。
そんな変わり者の彼にも熱心な支援者がいるし、実は女の子にモテモテなのだ。
序盤あたりの描写は大空へ羽ばたく鳥たちと地上の醜さの対比してる表現にも思えたな。
コメディ部分も人間ドラマ(人間?)も非常に面白い作品だ。
1970年という時代を彩る様々な楽曲が使用されているのが何とも嬉しかった。
本作はただブラックユーモア、コメディなだけじゃなく予想外に連続殺人事件が起きたりミステリーやサスペンス要素もある。
更に青春要素や恋愛もあって複合ジャンル映画の先駆けと言えるだろう。
10分くらいの長尺で気合入ったカーチェイスアクションまで用意されてるし(それは別にいらん気もしたが旧車マニアは喜ぶと思う)
近年の有名作だと韓国映画のパラサイトも複合ジャンル映画だよね。
正直俺はパラサイト以上にこちらのほうが驚いたが…
動物園、遊園地、野球場。
この世界が愛に溢れてた楽しい場所であるということをもう一度思い出させてくれるような素敵な作品だった。
この映画の何が衝撃かって伏線をあえて回収しなかったり、メタファー表現満載で虚構、現実というものについて改めて考えさせられる点だと思う。多くの謎を残して映画は終わる。
それこそ初めてファイトクラブを観たような衝撃的な体験。
鑑賞後は難解さと痛快さが同時存在している奇妙な感覚に包まれたな。
良くも悪くもこんな変わった映画を俺は他に知らない。
ラストも美しくダイナミックだ。
愚かで愛しい夢のショーが幕を閉じる切なさ…
ロバートアルトマン監督の最高傑作はロンググッドバイだと思ってたがこちらの映画も化け物クラスの作品だ。
既にもう一周したくなってる。
もう一周したらまた違った感想が出てくるだろう。
やっぱアメリカンニューシネマは良いね。
追伸:この映画の日本語版予告編作った人はマジであり得ないと思う。
ネタバレが酷すぎる。
その映像は一番入れちゃダメだろってネタバレ映像を入れてるので絶対にyoutubeで予告を観ないほうが良い。