にーやん

エレファント・キングのにーやんのネタバレレビュー・内容・結末

エレファント・キング(2006年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

大学からの研究助成金で山岳少数民族の人類学的研究のためタイに渡ったきり一向に帰国する気配がないジェイク。心配する母親の意思には逆らえず、兄を連れ戻すためタイに向かった弟オリバーだったが…。


パッケージのあらずしから兄を探すロードムービー、もしくはサスペンス寄りのストーリーを期待しての鑑賞だったのだが、序盤であっさり兄にたどり着く展開には少々肩透かしを食らってしまった。


タイで自由気ままに放蕩な生活を謳歌するジェイクに次第に感化され、内向的な弟オリバーも現地の女性レクと初めての恋に落ち「もう帰らない」と帰りを待つ母親に電話を入れる…。


ふたりの生活をメインに描きつつ、ある意味リアルなひとつの家族の風景、そして微笑みの国タイのもうひとつのシビアな断面も垣間見ることができる。

インバウンドに頼らざる得ないタイ女性の生活。「人生はあっという間、気づいたら60歳になってしまうぞ」とタイでの生活を楽しめと息子たちを煽る父親。ふたりの帰りを待ちわびながらひとり現実と向き合う母親。資金にも底がみえ次第にドラッグに侵されてゆく兄ジェイク。繊細で気弱、過去にトラウマを抱える弟オリバーの初めての恋。



そして…
放蕩生活の終わりは衝撃と共に呆気なくやってくる。

でしょうね…
的な結末ではあるけれど。

この旅で弟は少し大人に、そして少しだけ強くなる…そんな物語か。
にーやん

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