10年という年月を隔てた「かつて学生運動に参加していた者」と「今まさに闘争している学生」を結婚式というシチュエーションで違和感なく向き合いの構図に収めた点は良かった。
新郎の野沢は唯一両方の闘争の中で前線に立った経緯を持つ人物だ。それはかつての学生運動で取り残されてしまった感覚が10年経っても残っており、新たな世代となったものの当時の自分と重ね合わせることのできる玲子らに縋る思いだったのではないか。
いつの間にか手段と目的のすり替えが起きていたり、熱心にのめり込むほど後戻りができなくなる、或いはその人物が侵食されていく恐ろしさがある。
(20240412)