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北北西に進路を取れのYYamadaのレビュー・感想・評価

北北西に進路を取れ(1959年製作の映画)
3.9
【サスペンス映画のススメ】
〈ジャンル定義への当てはめ〉
 ○: 観客の緊張感を煽る
 ○: 超常現象なし

◆作品名:
北北西に進路を取れ (1959)
◆サスペンスの要素:
・謎の組織から命懸けの逃避行
・自らの無実を証明するため、
 人違いとなったスパイを探せ

〈本作の粗筋〉 eiga.comより抜粋
・ニューヨークで広告会社を経営するロジャーは、偶然同じ場所に居合わせてしまったためにキャプランという男に間違えられ、謎の組織から追われる羽目に。
・ロジャーは追われながらも真相を探るべくニューヨークからシカゴ、サウスダコタのラシュモア山まで息もつかせぬ逃走劇を展開する…。

〈見処〉
①50年代娯楽作品の最高峰に君臨。
ヒッチコックの集大成サスペンス!
・『北北西に進路を取れ』(原題: North by Northwest)は、1959年に製作された、スリラー・サスペンス映画。監督はアルフレッド・ヒッチコック、主演はケイリー・グラントが務めている。
・恒例のヒッチコックのカメオ出演は、冒頭のクレジットタイトルのあと、発車直前のバスに乗ろうとした男性がドアを閉められてしまうシーンに登場。
・本作の原題「North by Northwest」という方位は存在せず、実際の北北西は「North-NorthWest」であるが、ヒッチコック曰く「方位磁石にはnorth by northwestなどというものは存在しない。自由な映画製作をやろうとするとファンタジーを用いることになり、それこそ私が扱っている分野。私は現実の一面を扱うようなことはせず、タイトルがこの映画の全体を象徴している」のだそうだ。
・ヒッチコックはその信念のもと「ラシュモア山でのチェイスを撮りたい」という小さなプロットを出発点に、脚本家のアーネスト・レーマンとゼロから発想を掛合せ、ストーリーを構築。主演のケイリー・グラントは「撮影の3分の1が終わったというのに、まったく意味がわからない」と酷評したほど複雑な脚本の本作であるが、ヒッチコックにより本能的に理解出来得る娯楽作品と仕上げられた本作は、現在でも高い人気を誇る「ヒッチコックの集大成」作品である。

②映画史に残る「原点」作品
ヒッチコックによる本作は、その後に製作された映画に多くの影響を与えている。
・一般人が第三者と間違えられ災難にあう
「巻き込まれ型サスペンス」の原点作品。
・文字を動かしてアニメーション化する「キネティック・タイポグラフィ」を冒頭タイトルに使用した最初の作品。
・何もない平原を貫く一本道による「小型機の襲来シーン」は『インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』など多くのアクション映画に模写されている。
・主人公の行動動機が作中で変わりながらクライマックスを迎える構成は、以降の冒険アクションやボンド映画、ロールプレイングゲームの基礎となっている。
・「アメリカ民主主義の聖地」サウスダコタ州ラシュモア山が登場する最初のハリウッド映画。本作は、ロケーション撮影ではなく、スタジオに巨大なセットが組まれ製作された。

③結び…本作の見処は?
サスペンス映画ファン必見の作品。
◎: 上映時間136分の間、目まぐるしくストーリーが変化。退屈シーンがない手に汗握るサスペンスは、複雑そうに見え、実は何も考えなくても感性で理解出来る、究極の娯楽作品。60年前の作品であるが、今見ても高い鮮度を保っている。
◎: アクション映画で良く見たシーンが多数登場しているのは、本作がその原点であるから。
○: ラストのラシュモア山の攻防はセットとは思えないスケール。本作鑑賞の影響を受け、現地へ訪問観光をした経験があるが、実際には4人の大統領を対岸からしか見れず、映画のほうが迫力に勝る。
×: 終盤は恐ろしいくらいのグダグダ展開。勢いで映画をクローズさせている典型例作品でもある。
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